ディレクターメッセージ

中込 遊里(鮭スペアレ主宰・演出家)

演劇は、出演者、スタッフ、作家、そして観客という多くの他者が集まって、それぞれ違う考え方や生き方をすり合わせながら形作ります。難しくて繊細な作業です。だからこそ、様々な人の考え方がミックスされた豊かな空間と時間が生み出されます。

2019年から私が総合ディレクターを務めた「八王子学生演劇祭」では、その演劇の難しさと楽しさを学生のみなさんと共有しながら、演劇作品を創って発表してきました。その経験を活かし、もっともっと広い世界に旅立とう!という決意を込めて立ち上げたのが「演劇ネットワーク ぱちぱち」です。

私が高校生や大学生と一緒に演劇を創作する中で一番問題に感じていたことは、「演劇を続けていく環境がない」ということです。

演劇に興味を持っても、どうやって学校生活と演劇を両立させたらいいのか?卒業してからも演劇を続けるには?

周りの人に演劇活動を理解してもらうには?

演劇が身近にある生活を送ることは、そんなに難しいことなのだろうか?

いや、たくさんの同じ思いを持った人たちが集まれば、それほど難しいことではないはず。

そのような思いから、「演劇ネットワーク」が生まれました。個人と個人とが簡単に一緒になったり離れたりしながら、演劇を楽しむことが出来る仕組みです。

一人ひとり違う素地・経験を持った人たちが集まって、わくわくする企画があちこちで立ち上がり、好きなように好きなだけ参加できるのが「演劇ネットワーク ぱちぱち」です。若い世代が中心となり、立場や年齢の境目を取り外しながら「演劇」をキーワードとしてゆるやかに繋がれる場を目指しています。

私を始めとする立ち上げメンバーの「たくさんの人が気楽に演劇を楽しめる世の中を作りたい」という思いを叶える場所として、長い時間をかけて、ゆっくりたっぷり育てていきたいと思っています。