演劇のための長くてゆるやかなアーティスト・イン・レジデンスは一時活動を休止することとなりました。楽しみにしてくださった皆様、誠に申し訳ございません。
詳細は下記のページをご参照ください。
主催者メッセージ
八王子は江戸時代より宿場町として、明治には織物産業で栄えた街、また関東平野の西端の高尾山の麓に位置する歴史と自然のある街、さらに遡れば縄文時代より今日まで、東西南北の交易の交叉点としても多くの人々が出会った場所でもあります。
日常を送る市民にとっては、八王子での生活は「居」場所ですが、訪れたアーティストにとっては「異」場所。アーティストが暫く意識を滞在させ、身体で体験し、感じとった「新鮮さ」「違和感」「思考の糧」を人生の旅の1頁として演劇に昇華し、市民にフィードバックします。アーティストの生き様は他人の本、街を映す鏡となり、またある時はフィルターとなって皆の未来を映します。
2~3年という比較的ゆったりとしたスパンで、財団はアーティストの活動(ワークショップ・イベント・制作・上演等)を支援し、市民との接点・交流の機会を創ります。アーティストの上り階段の踊り場のように、或いはその旅路の束の間の宿り木のように、八王子が在ることを願い、そうした場づくり・関係づくりを始めます。
10年、20年と続いていく企画を目指し、まずは劇作家/演出家の西尾佳織さんが主宰を務める「鳥公園」と一緒に2~3年を過ごしてみることにしました。
1年目となる令和4年度は、『ヨブ呼んでるよ』の公演部分の制作を「合同会社syuz’gen」が担当し、質の高い作品の上演を目指します。そして八王子を拠点に活動する「演劇ネットワークぱちぱち」が、ワークショップ等を通して鳥公園、観客、八王子の街との出会いを演出します。
—プロデューサー 米倉楽(公益財団法人八王子市学園都市文化ふれあい財団 芸術文化担当部長兼芸術文化振興課長)
アーティスト メッセージ
八王子と2年か3年、一緒に活動することになりました。2~3年というそれなりに長い時間、一つのまちに軸足を置いて安定して活動できるのは、大変ありがたい話です。(ちなみに2年か3年というのは、やり始めてみてお互いに必要だねとなったら3年にしましょう、とにかく動き出してみないと何も分からないから、というやわらかさです。)
アーティスト・イン・レジデンスといっても、わたしたちが創作するときに常に八王子に腰を落ち着けて、八王子「で」つくるという意味では必ずしもなく、八王子「と」つくるんだろうと思っています。atではなくwithというか。
もちろんたびたび通って、時にはまとまった期間滞在したりもするかもしれません(したいです)。が、おそらく八王子というまちは、わたしの生活と地続きの場所にある。移住してその地に根ざさなくても付き合える距離にあり、アートによる新たな町おこしが強く期待されるような産業のありようをしているわけでもない、生活のまち。それでもそこに演劇の存在できる位置があるはずで、それを探るとき、わたしたちも自分の創作を生きることとの連続性の中で捉えられるだろうと期待しています。
新作をどんどんつくり続けることで、アーティストとしてのキャリアを積み上げるような活動の仕方にくたびれて、つくり方自体をつくり直そうと思ったのが2019年でした(鳥公園 新体制についてのステートメント)。どうすれば活動のために活動するような状態から抜け出して、創作を深め、作品とアーティストが(そしてそれに伴って社会が)成熟していけるのか? この問いを、八王子のまちと人と出会いながら、具体的な手触りとして実践していく時間にしたいと思います。
1年目は、旧約聖書「ヨブ記」を現代日本に翻案した『ヨブ呼んでるよ』のリクリエイション版を三浦雨林演出で。創作を始める手前の勉強会も、ワークショップとして一般に公開します。また、鳥公園が初めて公演を行う都市で開催してきた「鳥公園のジコショウカイ展」と、2年目に向けて、蜂巣もも演出の『昼の街を歩く』チームによる八王子滞在&ワークショップも予定しています。
上演だけでなく、その背景や水面下に流れている思想まで、是非のぞいてみてください。
—鳥公園主宰 西尾佳織
主催
公益財団八王子市学園都市文化ふれあい財団
芸術文化・コミュニティ振興等を推進し、市民の活動の支援を行い、心豊かな市民生活といきいきとした地域社会の発展に寄与する。地域における芸術文化・コミュニティ振興等を推進するため市が設置した専門機関として、名実ともに八王子市において中心的な役割を果たす財団に進化する。
お問い合わせ
(公財)八王子市学園都市文化ふれあい財団 芸術文化振興課
geishin78@hachiojibunka.or.jp(担当:荻山)