演劇のための長くてゆるやかなアーティスト・イン・レジデンス(通称:ゆるAIR)の一時休止についてのお知らせ
2022年度から開始された演劇のための長くてゆるやかなアーティスト・イン・レジデンス(通称:ゆるAIR)において、事業の汎用性をもたせるためにフォーマットをゆるやかにし、アーティストにとって自由度の高い創作の場づくりを目指していましたが、それに伴って様々な制作上の問題が生じ、主催である公益財団法人八王子市学園都市文化ふれあい財団(以下、当財団)及び鳥公園の協議の結果、一時休止することとしました。具体的には、複数の事業を並行して準備したことによってレジデントアーティストへ及び財団双方の負担が増大する状況となり、結果として1つ1つのイベントのプロモーションが充分にできないなどの問題が生じ、レジデントアーティストに不利益をもたらす恐れがありました。
ゆるやかさを目指していたはずが、気が付くと創作に支障が出るほど忙しい状況を生んでしまいました。このことから、自由であること、ゆるやかであることを守るためには、しっかりとした強度のある事業設計が必要であることを学んだところです。そこにたどり着くのに1年を要してしまったのは、ひとえに財団の経験不足によるものです。
現在も改善に向けて整備を図っておりますが、直ちに開かれた事業として運営することが困難だと判断し、誠に勝手ながら2023年度に予定していた公演およびワークショップは全て中止することと致します。
この事業を楽しみにしてくださった皆様、レジデントアーティストである鳥公園の皆様、ご協力頂いた皆様に対し、心よりお詫び申し上げます。
今後はこの反省を生かし、演劇文化、アーティストを支え、多くの皆様に演劇のすばらしさを感じてもらえるような事業づくりをしていくために、然るべく体制と環境を整え、ゆるAIRを再開する日を迎えることができるよう努めてまいります。皆様にはご理解いただけますと幸いです。
2023.10.31
公益財団法人八王子市学園都市文化ふれあい財団
演劇のための長くてゆるやかなアーティスト・イン・レジデンス
プロデューサー 米倉楽
ディレクター 荻山恭規
ゆるAIRを休止することになりました。
やろうとしていることに対して、実現するのに必要なリソースが足りていないまま走り始めてしまい(そもそもどのくらい要るのか、そして足るとはどういう状態か、が欠けていたのですが)、ひとまず決めたことをやり切るために関わる全員が150%頑張り続けてまいってしまった、というのが私たちの1年目でした。
とはいえどんな事業も始まりはそういうものだ、と思っていました。でも財団のみなさんと1年目を振り返り、2年目を構想する中で、個別の反省や改善では届かないズレがあると感じるようになりました。全員が150%頑張らなくても続けられるようにするための体制づくりが必須でしたが、そのための青写真を共有できていなかったことが徐々に明らかになり、走りながら考えるより、一度立ち止まりましょうということになりました。
ゆるAIRを始めるときに、「アーティスト・イン・レジデンスといっても、わたしたちが創作するときに常に八王子に腰を落ち着けて、八王子「で」つくるという意味では必ずしもなく、八王子「と」つくるんだろうと思っています。atではなくwithというか」と書きました。でもこれを、例えば〈八王子「で」つくる〉を起点に定めていたらどうだったろう?といま1年目を振り返って、同時に未来のことも考えながら、想像します。
〈八王子「と」〉は、難しかった。抽象的なまま宙に浮いていて、上手く具体に結実させられませんでした。財団のみなさんはいつも「自由にやってほしい」と言ってくださっていたのですが、そのために、ゆるAIRを構成する全てのパラメーターがずっと動かせる状態になっていたので、例えば〈八王子「で」〉をピン留めしたらどうだろう、と思うのです。
公的な財団がゆるAIRのような事業に取り組むことは、とても貴重で意義深いことだと思います。その初めのレジデントアーティストとして鳥公園に声をかけてくださったことに、感謝しています。再開時に鳥公園が再びレジデントアーティストになるのかどうかは、現時点では決まっていませんが、ゆるAIRという大きな可能性を秘めた取り組みが近い将来再開されることを、いちアーティストとして願っています。
2023.11.27
鳥公園主宰 西尾佳織