ぱちぱちメンバーズファイル①~箕浦妃紗さん~

ユース世代が「自分にとっての演劇の続け方」を試す場「演劇ネットワークぱちぱち」のメンバーの活躍と魅力を、総合ディレクター中込遊里が紹介します。

箕浦妃紗(みのうらひさ)

2000年3月3日、愛知県名古屋市生まれ。
桜美林大学芸術文化学群演劇ダンス専修卒業。

2022年5月~北茨城市地域おこし協力隊に着任し、東京から北茨城市に移住。行ったことのない場所に行くことが好き。

演劇をはじめたきっかけ~学芸会での集団創作~

中込

まずは、演劇をはじめたきっかけを教えてください。

箕浦

小学校の学芸会の、6年生の時の経験がきっかけです。少人数の学年だったので、校長先生とかも練習に付き合ってくれて、みんな熱心に取り組んでました。雷のシーンがあって、それも、出演してない子どもが裏方になって、フラッシュ炊いたりとかして。その時に、裏方も経験して、「ああこういうことも演劇に含まれてるんだ」と子どもなりに思ったんです。

中込

それまでに舞台を見たことはあったの?

箕浦

劇団うりんこをよく見てました。でも、「これだ!」となったのは学芸会でした。

中込

いい指導だったんだね。

箕浦

そうですね。みんなで作ったっていうのが面白かったです。

演劇向いてない…と思った高校時代

中込

子ども時代はどんな人でしたか?

箕浦

目立ちたがり屋だったかな。学級委員をずっとやってて、運動会では応援団長でした。発言をいっぱいするタイプ。でも、幼稚園の年中さんくらいまでは超人見知りでした。すごい自信がなかった。誰かに話しかけられるような感じになったらサササーって逃げてました。

中込

なんで変わったんだろうねえ。

箕浦

うーん、でも年下の子に対して面倒見のよいところはあったので、本来そういうところがあったのかも。

中込

高校では演劇部に入ったんだよね。

箕浦

はい。演劇部でも部長でした。当時は役者がやりたかったんだけど、合った役がなかったのかな、裏方、舞台監督や演出助手みたいなポジションをやってました。その中で、「演劇は私に向いてない」って思ったことがあったんです。

中込

へえ!そのきっかけは?

箕浦

先輩に意見を言いづらいことがあって。内容に自分が追い付けない。みんなは作り進めているのに、それに置いていかれている感じ。先輩は優しかったんだけど、自分で勝手に置いていかれてると思って、楽しくなくなった。でも、やめなかった。

中込

部活っていうと場があるから、強制的になんかやるっていうのは強いよね。

箕浦

そうですね。演劇部をやめなかったから、大学でも演劇の道に行ったと思う。

「ぱちぱち」では、長い時間をかけて創作することに挑戦中!

中込

大学で(ぱちぱち立ち上げメンバーの)若尾くんに出会って、その繋がりで私の劇団鮭スペアレに出演してくれたのが大学1年生の時だよね。その時に私がディレクターをしていた「八王子学生演劇祭」にも出演してもらって、それが今「演劇ネットワークぱちぱち」に変わったので、箕浦さんは立ち上げメンバーのひとりというわけです。

箕浦

そうですね。

「2025年秋の二人芝居10都市ツアーの支度」について

中込

鮭スペアレの稽古中だったか…箕浦さんが「(ぱちぱち立ち上げメンバーの)竹内ミズキと二人芝居をやりたい」というふわっとした妄想的な欲望?(笑)を語ってくれて、それが今ぱちぱちで開催しているコンテンツ『2025年秋の二人芝居10都市ツアーの支度』に繋がった。どんなコンテンツですか?

箕浦

長い期間をかけて、作品のテーマ・構想を決めてつくっていこう、というコンテンツです。竹内くんと私は東京で出会ったけどお互いに移住していて、(竹内くんは兵庫県豊岡市在住)東京以外で上演したいな、と。キリよく10都市。だいたいもう7都市くらい勝手に決めてる(笑)だいたい月に1回、オンラインでゆるゆるトークしています。

中込

2020年から5年間かけての計画だから、もう半分だね。どんな作品になるかまったくわからない!

箕浦

そう(笑)でも、たぶん竹内ミズキと私のお互いの経験がそのまま作品になると思います。オンラインで近況報告会してるから、5年分の経験が詰まった作品になるのではないかと!

中込

竹内くんの強烈な個性から生み出される時間だよね。哲学とか宇宙とか、話題は多岐にわたる。

箕浦

そうそう、めっちゃ面白い!

中込

一緒に聞いてくれているぱちぱちメンバーたちも、その世界観を面白がってくれてるよね。そして、箕浦さんが大学生の時から始めたコンテンツで…これがきっかけになって現在の地域おこし協力隊という職についたんだよね!

箕浦

そうです。最初は、演劇を続けながらも生活を続けたいという時に、どうやってお金を稼ぐのか、という話を竹内くんとしている中で、竹内くんから「地域おこし協力隊というのがあるよ」という案が出て。地方の大学を選んだ竹内くんと話す中で、コロナもあって、東京よりも地方に興味を持って。同期が、東京で就職する人が多いので、会えなくなるのがイヤだから、私も関東近郊がいいかなって。ただ、コロナ真っ最中で、東京に近すぎると感染とかがキツイなと。なので、直観的に北茨城市に応募しました。

中込

地域おこし協力隊の仕事はどうですか?

箕浦

北茨城市の地域おこし協力隊が私一人ということもあり、ボランティアとかで一緒になにかを進めていく人を募集しています。同時並行で、私のことを知ってもらう場が必要だなと思って、先日、お話会をやりました。かんたんなシアターゲームや、作品鑑賞や、芸術に関する「木」を作ろうというワークをやりました。参加者の思う「芸術」を書いてもらって貼って葉っぱにするという。他に、地域のマルシェに協力するとか、イベントの運営の手伝いをすることが多いです。

『むかしむかし、あるお家に』初演(八王子公演)について

『むかしむかし、あるお家に』2021年12月いちょうホール・小ホール(撮影:伊藤華織)

中込

他には、ぱちぱちで最初に開催した演劇公演のコンテンツ『むかしむかし、あるお家に』に、出演と衣装担当で参加してくれました。それを通して自分の変化はありましたか?

箕浦

ひとつは、昔話の可能性を感じました。今まで昔話を深読みしたことなかったけど、いろんな昔話を繋げたら1つの作品になるんだな、と気が付きました。面白い構成。
あとは、衣装とメイクによりいっそう興味を持ちました。自分がこうできたらなあ、と思ったことを形作ってすり合わせることができた。

中込

演技も裏方も両方やってきた部分が生きたのかもね。あと、箕浦さんが演じたカメの役は、難しい役だった。(観客である)子どもと舞台を繋げる役。笑顔が素敵じゃないとダメ。

箕浦

ウンウン。

今後、演劇ネットワークぱちぱちでやってみたいこと

中込

これから演劇ネットワークぱちぱちでやってみたいことはありますか?

箕浦

まずは、「2025年秋の~」にスタッフとしてぱちぱちの中の希望者が一緒に参加してほしいです。あと、ちょっと難しいと思うけど…今いるぱちぱちメンバー全員でひとつ作品を作ってみたい。

中込

おおー。

箕浦

メンバーのみんなのこと、知らないから、作品を通して知ってみたいっていうのがあります。

中込

そうか、みんなで作る、大勢で作り上げるっていうところがやっぱり原点にあるんだね。

箕浦

そうですね。なにかしら共通の好きなことがあるっていう人たちで作ることができるっていうのは、簡単なようで簡単じゃないんだなって、北茨城市に来て思いました。大学時代、あんなにたくさんの同期とか先輩とかといつも作品作りをしていて超ハードな生活だったけど、今はひとりになって、あの時楽しかったんだなって思って。今やりたいのは、たくさんの人と作品を作ることですね。

中込

なるほど、学生ならではの作り方が、大人になるとできなくなることがあるよね。作り方は色々あって、身体が遠くにあっても、心はそばにいる、みたいな感覚を持てる作品作りが、「2025年秋の~」なんだろうね。距離の壁ということを前向きに捉えるという姿勢は、コロナのおかげもあって、可能性があるね。

将来の夢や目標

中込

将来、こういうふうになりたい、とか、夢や目標を聞かせてください。

箕浦

えー、なんだろうなあ。演劇に関しては、作品作りにずっと関わっていきたいですね。北茨城市だけに限らず。人としては…幸せに過ごしたい。

中込箕浦

(爆笑)

中込

あははは、抽象的!幸せとはなんだろう…。

箕浦

うーん、やっぱり、一緒にいたいと思う人と生活することじゃないですかね、私の中では。それありきで、好きなことに熱中していたい。芸術が物理的な、お金に繋がらないから、不安定じゃないですか。だから、プライベートが安定していれば、どこかが不安定でもすべてが崩れるわけじゃないという、心の安定になると思います。

中込

家族がだめになると全部がだめになる…から、家族というチーム作りは絶対必要だよね。

箕浦

家族、パートナーや子どもとの関係性が豊かさに繋がると思ってます。

箕浦妃紗さん、お話を聞かせてくれてありがとうございました!

次回の「ぱちぱちメンバーズファイル」は、今回のインタビューにも登場した竹内ミズキさんです。