応募を締め切りました。
ワークショップ-A「旧約聖書『ヨブ記』を一緒に読む」
西尾佳織作『ヨブ呼んでるよ』は、旧約聖書のヨブ記をベースに、自分だけに降りかかる(ように思える)理不尽や、他者から施される“善き行い”たちが渾々と描かれている作品です。主人公は希帆(きほ)という、現代の日本に生きるセックスワーカーの女性。彼女は店舗型デリヘルで働きながらシングルマザーをしていましたが、無断欠勤を続けて引きこもり、子供もネグレクトしているという状態で物語が始まります。この女性に重ねられたのが、旧約聖書『ヨブ記』の主人公・ヨブです。
本作を演出するに当たって、まずは元になっている『ヨブ記』への理解を深めたいと思い、専門の講師の方をお招きしました。上演台本の基礎になる時間を当企画参加者のみなさんと共に過ごし、共に読み解きたいと思います。
—ファシリテーター・三浦雨林(鳥公園アソシエイトアーティスト)
内容
第一回「ヨブ記ってなんだ?〜聖書に触れてみる」(講師:安田真由子)
旧約聖書に収録されている「ヨブ記」は、「正しい人ヨブ」が苦難に遭い、信仰を試される物語。一神教の立場から、この世の不条理と向き合い、格闘する文学とも言えます。
第一回ワークショップでは、ヨブ記をご存知の方もそうでない方も、この物語がより身近に感じられるよう、ヨブ記や(旧約)聖書全般に関して、いつ・どこで・誰によって・何のために書かれたのか、など基本的なことを学びます。
ヨブはなぜ酷い目に遭わなければならなかったのか、神は本当に正しいのか、世界はなぜ不条理で満ちているのか…このような問いを、ヨブ記を通して一緒に考えてみませんか?
第二回「何もかも物語?〜物語や批評について考えてみる」(講師:安田真由子)
私たちは、自分自身についても世の中についても、物語・ストーリーを組み立てて意味づけを行い、理解しようとする傾向があります。世界の中の、いったいどこからが「物語」でどこからが「物語抜き」の現実なのでしょうか。
第二回ワークショップでは、ヨブ記を例に「物語を読む」こと、文学批評について学びます。ヨブ記は、物語によってどのように現実世界を説明し、あるいは現実世界に疑義を呈したのか、そしてその物語を私たちはどう読むことができるのか。ワークショップでは、こういった問いを手掛かりに物語を読むことや読み方を学びつつ、世界や自分のライフストーリーをよりよく理解することをも目指していきます。
第三回「語られている言葉の信じ方を考える」(ファシリテーター:三浦雨林)
読書や会話という行為では、そこに現れた言葉を信じる必要がありますが、私たちは普段生活をしている中で現れる言葉の意味自体を疑うことはあまりないのではないでしょうか。ですが、言葉は何かを伝えるための記号であり、その記号が指し示す物や質感、感覚は人それぞれです。「同じものが想起されているはず」という不確かな約束事の上で私たちは本を読み、書き、会話をしています。
第三回ワークショップでは、そもそも私たちは言葉をどのように信じていて、どのくらい記号の中身が違うのかを、参加者のみなさんと一緒に探ろうと思います。
第四回「フェミニズムとヨブ記?〜聖書学への新たなアプローチ」(講師:安田真由子)
ヨブ記は、ヨブや友人たち、神やサタンなど男性(的な)キャラクターだらけの文書です。女性はほとんど登場せず、台詞が与えられている女性はヨブの妻のみ、それもたった一言の台詞です。ヨブがいわれのない苦難に遭ったのなら、ヨブと同じくらい、あるいはそれ以上に状況に振り回された妻や子どもたちの苦難はどうなるのでしょうか。
第四回ワークショップでは、フェミニスト解釈などの比較的新しいアプローチを用いてヨブ記を読んでみます。また、聖書学という学問の専門分野において、フェミニスト解釈を始めとする新しいアプローチがどのように台頭してきたかなど、簡単な学問の歴史も振り返ります。読み方によってテキストがどのようにその表情を変えるのか、見ていきましょう。
第五回「語らないことを考える」(ファシリテーター:三浦雨林)
これまで”そこに書かれていること”や”言葉になっていること”をテーマに進んできましたが、最後に”語らないこと・語られていないこと”に想像を及ばせてみます。言葉ではない方法で伝わる情報について、演劇的な手法から考えてみましょう。
自分が何かを伝える時に語らないこと(語られていないこと)はどういう部分か。また、ヨブ記や『ヨブ呼んでるよ』で語られていないこととは何か、ここまでの4回を振り返りながら、丁寧に読んでいきます。
日程/会場
5月14日(土) 13:30-16:30 いちょうホール(第2展示室)
5月15日(日) 13:30-16:30 いちょうホール(第2展示室)
5月16日(月) 13:30-16:30 学園都市センター(第2セミナー室)
5月21日(土) 13:30-16:30 いちょうホール(第2展示室)
5月22日(日) 13:30-16:30 いちょうホール(第2展示室)
※開場、受付は10分前(13:20)からとなります。
※ 5月16日(月) のみ、会場が異なります。ご注意ください。
いちょうホールHP:https://www.hachiojibunka.or.jp/icho/
学園都市センターHP:https://www.hachiojibunka.or.jp/gakuen/
参加費/定員
参加費 | 1回1000円/通しチケット3500円
定員 | 15人(各回)
※応募者多数の場合は抽選となります。結果は、メールまたはお電話にてお知らせいたします。またその場合、通し参加の方を優先します。
対象年齢
なし。※中学生以上推奨
講師プロフィール
安田真由子(新約聖書学者)
新約聖書をフェミニストやクィア、ポストコロニアルの視点から解釈する研究を行なっている。二千年も前の家父長制的社会の中で書かれた聖書というテキストに潜む差別や暴力といかに向き合い、いまを生きる私たちが性差別などの様々な抑圧から解放されるために、テキストをどう読んでいくことができるか、模索中。2021年に米国のシカゴ・ルター派神学校にて博士号(新約学)を取得し、現在、同校やルーテル学院大学などで教鞭を取っている。出版物に、「クィアな想像力はどこまでいけるか−物語をクィアに読む/語り直すということ」(『福音と世界』新教出版、2021年12月号)、「舞い戻る死者、不正の告発−クィア批評による解釈」(『福音と世界』2018年4月号)など。
ファシリテーター プロフィール
鳥公園アソシエイトアーティスト 劇作家/演出家
三浦雨林 Ulin MIURA
1994年生まれ。演出家、劇作家。隣屋(主宰/演出/劇作)、青年団演出部所属。日本大学大学院 芸術学研究科 舞台芸術専攻 修了。芥川龍之介の小説や、レフ・トルストイの戯曲など既存の作品を原案に、文字としての言葉と発話される言葉の差異を際立たせる手法で劇作・演出を行う。2020年以降、映像・美術を中心とするインスタレーションの手法も用いた演劇作品を発表している。
申込方法(ワークショップ-A、B共通)
応募を締め切りました。
下記注意事項を、必ずご確認ください。
ご同意いただける場合、応募フォーム、または、メールにてお申込みください。
注意事項
・広報のため写真撮影、記録映像撮影をします。映りたくない場合は、あらかじめスタッフにお声がけください。また、参加者の方のワークショップの録画・撮影・録音は禁止いたします。
・ワークショップの内容、資料など、講師の許可のないものはすべて外部での公開、転載することはおやめください。
・ワークショップ前後の時間も含む進行を妨げる行為、講師や他の参加者に対する迷惑行為はご遠慮ください。
・手指のアルコール消毒、検温、不織布マスクの着用など、感染対策のご協力をお願いいたします。
※上記のことをお守りいただけない場合、主催者が注意をしても改善されない場合は退席をお願いする場合がございます。
メール
件名を「鳥公園ワークショップ参加希望」とし、本文に
・受講を希望されるワークショップ (A・B・両方)
・参加日程
・お名前(フリガナ)
・お電話番号
・住所
・遅刻、早退(もしあれば)
を明記の上、geishin78@hachiojibunka.or.jp(担当:荻山)までご連絡ください。
数日以内に折り返しご連絡いたします。
応募締切
ワークショップ-A:4月30日(土)→ 5月10日 (火)まで延長します。 →応募を締め切りました。
ワークショップ-B:5月15日(日)
クレジット
主催:(公財)八王子市学園都市文化ふれあい財団
企画:鳥公園
運営:演劇ネットワークぱちぱち
助成:令和4年度 文化庁文化芸術振興補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業)独立行政法人日本芸術文化振興会
お問い合わせ
(公財)八王子市学園都市文化ふれあい財団 芸術文化振興課
geishin78@hachiojibunka.or.jp(担当:荻山)