「続ける環境を作る」から「よりよい付き合い方を見つける」へ。演劇を続ける若者を応援するには?【座談会レポート】

(書き手:中込遊里 演劇ネットワークぱちぱち総合ディレクター)

演劇ネットワークぱちぱちは演劇を続ける環境を作ることをミッションとして、18歳~25歳の演劇を続けたい思いのあるユース世代のコミュニティを2021年に作りました。

ぱちぱちでは、ユース世代が「自分にとっての演劇の続け方」を発見することで演劇を続ける人がひとりでも増えることを目指して、演劇公演やワークショップなど、ユース世代が自主的に活動する様々な企画を社会と接続させながら作ってきました。

同時に、演劇を続ける環境を作るためには、現状、ユース世代が演劇を続けるためにどんなハードルがあるのかをぱちぱちの運営が知り、それを改善する方法を具体的に考えることが重要です。

そこで、演劇の教育現場で日々若者に接する講師や教員および演劇を学ぶ高校生・大学生が、「演劇を続ける若者をどう応援するか」について意見交換をする場を設けました。

ぱちぱち運営は、ここで語られたことをユース世代をとりまく演劇環境の現状を把握するヒントとして活かし、演劇を続ける環境を作る具体的な取り組みを考えようとしました。

結果、演劇ネットワークぱちぱちのミッションを更新することになりました。

本記事では、演劇における教育現場の現状を共有し合う「演劇を続ける若者をどう応援する?座談会」の記録と、それを踏まえてぱちぱち運営が考えた演劇ネットワークぱちぱちの最新のミッションを掲載します。

「演劇を続ける若者をどう応援する?座談会」目次

  1. 座談会に参加した人たち
  2. 講師や教員になったきっかけ・仕事の内容
  3. コロナの影響
  4. 将来、どうする?
  5. プレイヤーが演劇を教えるということ
  6. 「演劇の場」の必要性
  7. 地方の演劇のあり方
座談会の様子。2024年3月9日に、八王子市南大沢文化会館で開催しました。

座談会に参加した人たち(敬称略、年齢・肩書は当時)

【大人チーム】

中込遊里(39歳。演劇ネットワークぱちぱち総合ディレクター。日本大学芸術学部演劇学科卒業。都立日野台高校・日野高校・府中高校演劇部指導員。都立総合芸術高校特別専門講師)
綾門優季(32歳。日本大学芸術学部演劇学科卒業。劇作家。日本大学芸術学部演劇学科・尚美学園大学芸術情報学部非常勤講師)
坂本鈴(42歳。劇作家。専修大学在学中劇団だるめしあんを立ち上げ。中高生対象の劇作ワークショップ講師、中学校と高校の演劇大会の審査員をする。桐朋学園短期大学・昭和音楽大学非常勤講師)
小野晃太朗(35歳。劇作家・演出家。日本大学芸術学部演劇学科卒業。日本大学芸術学部演劇学科非常勤講師)
綾田將一(40歳。俳優。ワークショップファシリテーター。聖光学院中学校・埼玉県立芸術総合高校非常勤講師)
佐々木宏(62歳。都立高校で国語の教員を33年間、演劇部の顧問を30年間勤める。アクティブラーニング、演劇的手法を活用した学び、探究的な学び、学校教育を地域にひらく活動について広く実践する)

【大学生・高校生チーム】

赤間菜穂(芸術文化観光専門職大学1年生)
岩野志乃(芸術文化観光専門職大学1年生)
水谷琴音(大学1年生。都立総合芸術高校卒業)
近藤和(都立日野台高校2年生。演劇部部長)

講師や教員になったきっかけ・仕事の内容

小野AAF戯曲賞大賞を2020年に受賞しました。それで講義をしてほしいと母校(日本大学芸術学部演劇学科)から依頼があった。講義の後に「ちょっとこの後話あるんだけどいいですか?」「来年度から講師をお願いできますか?」と言われた。劇作実習を担当しています。

綾門:日本大学芸術学部演劇学科では2021年度から講師、尚美学園大学では2023年度から講師です。学生からは、コロナで創作やりたかったのにできなかった時期にたまりにたまったフラストレーションの爆発を感じることがあります。授業のやり方に正解はなくて、その年ごとに正解を出さなければいけないなと。

2020年度1月の総合実習のゲスト講師の話があったが、コロナでなくなったんです。延期になったのかなって思いメールをしたら、その返信で「来年度の講師やりますか?」と(笑)

小野:日本大学芸術学部演劇学科は、若い講師たちが増えた印象があります。

綾門:30代〜40代の方が雇われてますよね。

小野:過酷な労働環境の改善に向けての動きを感じます。

坂本:(桐朋学園短期大学も昭和音楽大学も)私は両方とも既に授業を持っている先生のピンチヒッターとして入りまして、その縁で講師になりました。アートマネージメントと舞台スタッフの必修を教えてます。

綾田:小学校対象のワークショップをやるようになったきっかけは、こまばアゴラ劇場のワークショップ研究会に関わったことです。ターゲットとして数が多いのは小学4年生。演劇がフィットする学年。いじめ対策でもある。5年生は忙しくなるし、6年生になると思春期になってワークショップが難しくなる。

お話を作ってもらって発表するという内容です。昔は日をまたいでやってたけど、今は難しくなってきました。連続性が作れなくなってきたので、一回完結で短い作品を作るスタイルに変更しています。

聖光学院中学校は、母校だから恩師の国語の先生が(自分が)演劇やってるのを知ってて、(その学校は)選択芸術講座で演劇があったから、「その前任が辞めるからやってくれない?」って。

小学生対象のワークショップが増えたのは、2010年度から文科省でコミュニケーション教育を広げていこうという流れがあったから。演劇そのものを教えるというのではなくキャリア教育に近いかもしれません。

コロナの影響

中込:コミュニケーションが難しかったコロナ禍で問題が生じてきたのが「感情面の発達」なのかなって。人間の成長は、いろいろな人と接することでまず感情面が発達して、そのあと理性が発達すると聞いたことがある。学生のみなさんはコロナ禍でどういう経験をしましたか?

水谷:コロナ禍はマイナスなイメージで語られることが多いけど、私にとってはいいことがありました。私たちの代はコロナでマスクを外すことが許されてなくて、本来はシーンスタディをやるところを、ひとり芝居で勉強しました。ちゃんとプロの人にひとり芝居を見てもらえたことはすごく良かった。

赤間:高校入学と同時にコロナになりました。演劇部の部員が1人しかいなくて、他者と関わることができなかった。

岩野:私は高校時代は吹奏楽部でした。ギッチリしてて、兼部禁止だった。だから八王子で中込さんと出会って、学校外で演劇ができた。でもそれはコロナ禍で部活の練習時間が短かったから。もしコロナじゃなかったら演劇できなかったんじゃないかな。

中込:八王子市学園都市文化ふれあい財団の演劇事業では、コロナでもなんとか工夫しようということで、2020年4月にオンラインで戯曲を読みました。オンラインワークショップを開催した先駆けだったと思います。綾門さんが講師を受けてくれました。学校内ではできないことを、なんとかだけど、やれたなと。岩野さんが出演してくれた「八王子学生演劇祭」はマスク着用で上演して。せめてもの工夫で、マスクの色を変えたりとかしたよね。

小野:zoomだと「ツール」だから雑談ができなかったですよね。

綾門:やたらと、自分の授業の参加者の多い年度があったんです。なんでこんなに人気なのかと学生に聞いたら、「他の授業は割とオンラインなんです。この授業と、あと数えるぐらいしか対面じゃないんですよ」と言われた。「ここでしか同級生と直接会って創作出来ない」という状況での集中力っていうのは凄いでしょうね。

岩野:芸術文化観光専門職大学は2021年に兵庫県に開校したんですが、あまりよく思ってない人たちもいて、「この人たちがコロナを持ってきた」って言われたって1期生から聞きました。寮生活では、寮内の共有スペースに1時間しかいられないってこともありました。

水谷:メンタルや個人の都合で授業の稽古に出られない人が多くて、稽古で全員揃った日が少なかった。シーンが進まないじゃんという空気もあったし…、絶対に稽古には来なければいけないという空気が耐えられない時もあったと思う。zoomだったら駄目って言われても耐えられるけど、対面で言われると耐えられないのかな…。

将来、どうする?

坂本:若者たちがこれからどうやって何者になっていくつもりなのか、すごく知りたい。この間話題になったのが、岸田戯曲賞を受賞した方が演劇のために借金を700万円作っていて、受賞しても賞金が20万で…という。今の学生のみなさんに、演劇の世界にきてね、とは言えないな…。

小野:講師室で他の先生に、「学生に対して夢のある話ができない」と相談したこともあります。

近藤:私は将来俳優になりたいです。去年、友だちとワークショップをやって、このメンバーで、これだけで離れたくないよねって、団体を作った。それを続けていきたい。作ってお客さんに見せる団体ではなくて、つながりをつくるための団体。演出も立てない。公演は1月にやってて、それは演劇に限らず色んなことをやる団体。次はバンドやりたいねって。

一同:へえ、すごくいいね。

水谷:去年、舞台『エブリ・ブリリアント・シング』を見て、こういう演劇ならやりたいなって思いました。3回見たんですけど、お客さんを交えて、毎回違っているところがよかった。海外との共同制作に興味を持っているので、プロデュース側になるかもしれません。

あと、演劇界のハラスメントなどを改善する立場になりたい。俳優の方が、講師として教える側に立つことがあるけど、その方自身が教えるための研修を受けているとは限らない。ハラスメントを日本に残さないためのシステムを作ることも興味があります。

坂本:その件に関しては、3年前くらいから大きく変わってきたかな。昭和音大で去年くらいからハラスメント研修が多くあります。演劇界全体がハラスメント防止のために動いている。とはいえ、研修をした人がハラスメントしてた、とか絶望的な状況もありつつ…でも少しずつ変わっていってるんですよね。

赤間:昨日、大学でハラスメント研修の動画を見ました。全員が見るように指導されてます。ただ、形式的でとっても難しくて、しかも動画なので、ちんぷんかんぷん。もっと自分ごとになったらいいのになって思う。

佐々木:高校1年生でもアルバイトしたりするし、そういう授業があった方がいいね。

小野:ハラスメント研修というとある一定の条件を満たすということが第一の目的になってしまう人がいたり、知識と現場での事例の差に頭を抱えたりしながら、その溝を埋めようとしている時期なのかなと思います。

中込:赤間さんは将来どう?

赤間:今は舞台の制作やりながら、俳優もできたら本望だと思います。演劇に関わっていこうと本気で思えたのは、大学に入ってから。芸術で食べていけるんだな、だって、先生方、芸術で食べてるぞ。と…。

坂本:ほんとかな?

全員:(笑)

綾門:食えなくはないんだけど、少なくとも大学教員を見ていると、食えるゾーンに入っている人たちがやばすぎる。ここまで行けば先生だけで食えるのは分かったけど、今の私なら死んでしまうぞと。

プレイヤーが演劇を教えるということ

綾門:今教員の方たちも、「教員になるぞ」と思って演劇を始めたわけじゃおそらくないんですよね。だから、急に「今日からあなた教員ね」っていうやり方じゃなくて、「演劇教育に携わるよ」という気持ちで入ってもいい業界のはず。そういう発想がない。

佐々木:スポーツ業界では、ありますよね。

綾門:演劇だけプレイヤーからある日突然引き抜かれるよね。現代文とか英語とかでは教員を目指して勉強するのはふつうですよね。

小野:たしかに、いろいろな入口があった方が健全な気がしますよね。

佐々木:音楽や美術と違って、演劇は教員免許がないですよね。それを、僕はちょっと別の可能性として考えてます。美術の教員が美術を教えるのと、アーティストが美術を教えるのとは全然違うんですよね。演劇の授業をアーティストが持つことによって、学校は外に開けるんです。教員とアーティストがコラボして授業を作れるといいと思うんですよね。

綾田:学校とアーティストの間にコーディネーターがいればいいですね。

中込:佐々木先生は、その役割を担っていますよね。

佐々木:クラシック音楽やクラシックバレエといったトラディショナルなものとは違う部分の可能性が演劇にはあるのかなと。総合芸術高校でいえば、美術科や音楽科、舞台表現科でも舞踊専攻は、専門の経験がないと入れないけれど、演劇専攻だけは未経験でも入れます。

水谷:たしかに、総合芸術高校で私の代の演劇専攻は21人いる中で演劇未経験者は数人います。

小野:「演劇の上演」以外でも、演劇で学んだことは役に立ちますもんね。

綾門:演劇の教育受けてないのに、32歳から演劇をいきなり始めてめっちゃ上手い人とかいるんですよ。蜷川さんのゴールドシアターでも、未経験だけど上手い方がいる。経験が無くても入れる業界だなって。たとえばピアノは手が小さいから諦める、ということがあるけどそういうのもない。

近藤:経験がないまま高校2年生から演劇部に入った人がいるんだけど、今までやってこなかった人の視点があるからすごくいいなって思います。

「演劇の場」の必要性

綾門:演劇の大学では、専門的、職業的なことを教えられることが多いです。でも、商業的な成功だけではない演技者の「人」としての魅力がある。それを知ることができる場所があってもよいですよね。アーティスト発信ではない形で、公共劇場がその役目を担ってもらえたら。市民と密着して。食えるか食えないかということではなく、生活の中に演劇があるようになればいい。そういう環境づくりができる人を育成する必要がある。

佐々木:未来に繋がる話ですね。

綾田:草野球ならぬ、草演劇があった方が、プロの人にも可能性が広がっていくと思う。

小野:日本では、歌舞伎という商業演劇から進んできているから、ヨーロッパスタイルに近づくにはまだまだ時間がかかりそうだなというのは思っちゃいますね。

中込:大衆の力が演劇業界を支えると思います。大衆の力を支えるのは場の力ですよね。場があって、お客さんを増やすことが一番大切。

小野:公共劇場も、地域的なトピックスとかの討論の場としての役目を果たした方がいい。それこそ「あいちトリエンナーレ」の表現の不自由展の問題でも、知事と市長と芸術監督が公共劇場で集まって討論すればいいのにと思いました。公共劇場はハブとしての使い方があるのでは。

地方の演劇のあり方

坂本:地方はすごく頑張ってて。九州のみまた演劇フェスティバルとか。町ぐるみで、脚本もみんなで書いて、公演もするんです。お互いに見合って、ツアーになってる。

綾田:すごい。ギリシャの劇場ってそんな感じだったんじゃ?

坂本鳥の劇場も、障碍者の演劇とかもあって。私の20代の頃は「上手い奴が生き残る」みたいな尖った気持ちでいたけど…、地方を体験して、みんな演劇やればいい!と思った。そういうところにお金がうまく回るといいですよね。

佐々木:お金だけ儲けるんだったら、リアルに人が集まらない方が効率よいじゃないですか。でも、ギャラもらえなくても、お祭りってみんな好きだし、みんな集まるのが好きなんじゃないかなと思う。演劇にはそういう力があるんだと思うんですよね。

小野:コミュニケーションの芸術とも言われてますけど、擬似的な革命の成功体験もできるんじゃないかと。

赤間:私は但馬地域を回る活動をしていて、車で1時間くらいかかるところに演劇を上演しに行ったんです。初めましての人でも、演劇を噛ませることで、共通の話題を持てるんです。お客さんの中で、「え、こんな活動してるんですか、今度一緒に仕事しましょう」という会話が生まれて。演劇を発端にして新たなことが生まれるのは凄くいいなって思う。

小野:そういう景色が見られるのはとてもいいですね。演劇教育に携わる身としては、心理的なハードルを下げることをしたいですね。自分の中の資源を掘っていく方法を探るというか。自分がそうであったように、壁に突き当たりながらも「こんなんでいいんだ」って早めにみんなが気が付けるといいな。しなければいけないと思っていることを、実はしなくていいんだよって。

中込:すごいいいこと言いますねえ…。感動しちゃった。

一同:(笑)

佐々木:岩野さんはどうでしょう。

岩野:私は大学に行って、演劇に携わる将来はやめようって思った。「豊岡演劇祭」でもの凄く衝撃で、「怖い!」と思った作品があって、行く先がもしかしたらそれなのだとしたら、怖いなって。私の代は意欲がある学生が多いって言われるんですけど、リーダーシップを持つ子が集まる中で手を挙げるのが怖くて。

私は、社会人で演劇をやるのはハードルが高いかなって思っていて、学生のうちにやりたいと思っていたんです。私もほんとはガツガツ演劇やりたいけど、周りが怖い。

でも、大学では演劇やりたい人が集まってるからサークルでも演劇できるし、4年間で演劇を完結させることはできるなって。だから卒業後も演劇を引きずらなくていいかなって思った。

小野:モーレツな演劇好きによって、演劇嫌いが出てくるのはすごく分かる。

中込:わかるよね。

岩野:大学ではあんまり大人の人と話せないから、今日みたいに大人と話せる機会があるといいな…。


座談会を経て感じた課題

本座談会を経て、演劇ネットワークぱちぱちの運営メンバー(公益財団法人八王子市学園都市文化ふれあい財団・一般社団法人AsoVo)で「演劇を続ける環境を作る」ための課題を考えました。

ちなみに、ぱちぱちでは2023年も同時期に座談会を開催しました。
こちら⇒「25歳になるよ、どうやって演劇続ける?」座談会レポート

昨年度は、25歳になった若者が「今後どのように演劇を続けていくか?」を参加者それぞれの経験から語り合いました。

2024年の座談会では、若者を応援したいけれども「大人も結構ギリギリです…!」という大人たちの抱えるシビアな現実だったのかもしれない、という意見が運営メンバーから出ました。

今回座談会に参加して頂いた皆さんが、演劇を通した「教育」現場にいる講師の方々だったので、演劇を続けている方の大多数の意見というわけではないかと思います。照明や音響・舞台監督などの技術職の方に話を聞けば、また違った話が出るでしょうし、そもそも「演劇を続ける」という定義が人によって曖昧です。今回の座談会においては「(演劇教育というジャンルで)芸術だけで食べていく=演劇を続けている」ということであれば、それは現時点では厳しいと思っている方が多いのかもしれません。

演劇を続ける若者を応援するには、大人が健やかに演劇を続けている必要があるのでしょう。

「大人が健やかに演劇を続けるための環境を作ること」が取り組むべき課題だと認識しました。

「続ける環境を作る」から「よりよい付き合い方を見つける」へ

その課題に取り組むために、演劇ネットワークぱちぱちはなにをすべきなのか。
運営メンバーで話し合いました。

これまでのぱちぱちでは、18歳~25歳の演劇を続ける思いのあるユース世代を人材育成対象=主人公として活動を進めてきました。

これからはその年代に縛られることなく人材育成対象を広げることが大切なのかもしれません。

ただ、学園都市である八王子市の事業なので、学生・ユース世代が主人公になることは変わりません。ですので、「大人が健やかに演劇を続ける環境」を一足飛びに作ることはできないけれど、若者を主人公としながらも年代に関わらず「演劇に対してポジティブな感情を持てる人を増やすこと」がその第一歩となるのではないか、と考えました。

そのためには「演劇を続ける」という言葉が曖昧でわかりにくいという意見が出ました。

座談会でそうであったように「演劇を続ける=プロとして食べていく」の解釈になりがちだからです。

演劇ネットワークぱちぱちは公共事業であり、多様な人々がアクセスできるような、幅広い目的や可能性を持った「演劇」を多く生み出したいという思いが根本にあります。

現代では様々な演劇の形がすでに示されていますが、演劇が日常にはない多くの人々にとっては「演劇は鑑賞するもの」であり、基本的には「専門性を持った俳優などの作り手が演じてみせるもの」だと思います。

しかし、ぱちぱちがすでに取り組んできたように「戯曲の読み合わせ会(読み合わセッション)」や「一緒に観劇して感想を語り合う会(観劇ツアー)」など、専門性のあるなしに関わらず集まった人で気軽に楽しむことも演劇のひとつの形といえます。

このように演劇との付き合い方の選択肢を増やしていけば、より多くの人が「自分好み」の演劇を見つける機会が増えるのではないでしょうか。それは演劇にポジティブな感情を持つ人を増やすことにつながるはずです。

このような考え方から、2024年7月、演劇ネットワークぱちぱちのミッションは「あなたが演劇とのより良い付き合い方を見つけるための環境作り」に更新されました。

「あなた」はユース世代を含めたすべての年代の人をイメージしています。

あなたも演劇ネットワークぱちぱちに参加しませんか?

ぱちぱちでは、常時メンバーとスポンサーを募集しています。

演劇に興味のある18歳~25歳の方⇒メンバーになるにはこちら

「あなたにとって演劇とのより良い付き合い方を見つけるための環境作り」に共感する方⇒スポンサーになるにはこちら