【レポート①】講師:近藤隼さん「プロの俳優を目指すユース世代のための演技ワークショップ」

演技ってなんだろう?11人の18歳~25歳が真剣に考えた3カ月間の記録(第一回)

演劇ネットワークぱちぱちでは、本気で演技をやりたい!プロの俳優になりたい!18歳~25歳のユース世代のためのワークショップと成果発表公演を開催しました。この記事ではその様子をお届けします。

どんな企画?

演劇ネットワークぱちぱちメンバーの朝果・前田柚希・若尾颯太による企画です。

ワークショップ・稽古・成果発表公演を通して、演技のスキルアップを目指します。

最終目標は、本気で演技に取り組みたいユース世代が自分の現在地を知り、プロになるための道筋を見つけること。

ワークショップの共通テーマは、

本気で演技を続けていきたいユース世代が「今なにをするべきか」「今何をしないべきか」

経験豊富な俳優の方々に様々な手法で伝えていただきました。

第一回ワークショップ|講師・近藤隼

11月11日(土)ワークショップ講師

近藤隼(こんどうじゅん)

俳優。日本大学芸術学部演劇学科演技コース卒業。主な出演作に『もっと泣いてよフラッパー』『そよ風と魔女たちとマクベスと』(串田和美演出)、『オセロー』『テンペスト』(白井晃演出)、『モンスターと時計』 (森新太郎演出)、『じゃり』『I Call My Brothers』(小川絵梨子演出)、『パレード、パレード』(杉原邦生演出)、『A Walk in the Woods』『別役実三部作』(千葉哲也演出)、『博士の愛した数式』(加藤拓也演出)など。

3時間のワークショップ。7人のユース世代が参加しました。

演技ってなんだろう?

近藤さんの問いからスタート。

「演技ってなんだと思う?」参加者からは、以下のような意見が。

・コミュニケーション

・相手を変化させる

・状況を感じる

・役の人生を追体験する

・人生、行動の可能性

・会話が大事

近藤「演技ってこれ!という正解はない。みんなの言ってること、全部正解」

『少しはみ出て殴られた』第一場を読んでみる

次に、成果発表公演で挑む戯曲『少しはみ出て殴られた』(作・土田英生)の第一場を読みます。

役を決めるのではなく、台詞ごとにひとりひとり回して読みました。

近藤「役をふられると、その視点で読んでしまう。責任感が出る。自然じゃなくなっちゃう。けれど、今みたいに役を振らないで読むと自然で面白いなって思う。

どんな作品?考えてみる

第一場を読んでみて、わかることを意見交換。

近藤「みんなが言ったこと、すべて正解。一番に作家が遊びたいことは、国が分かれることだと思う。」

近藤「台本を受け取って、役作りに入ると、難しく考えがち。でも、この作品は、ゲームみたいに楽しめるのが面白い仕掛け」

近藤さんより質問「国が分かれるみたいに“線引き”されている要素は、戯曲内に他にもある?」

・線を引いてる→オセロ、国
・性別は引いてないかも?名前で引いてる。
・会話も、イエスとノーから始まる。

参加者からはこのような意見が出ました。

近藤「劇場も線引きされている。観客と演じる側で線引きされているね。劇場と、劇場の外でも線引きがある。全部の“線引きゲーム”として面白いね!」

「線引きゲーム」スタート!

そこで、突然の「線引きゲーム」が始まりました。

男?女?
髪を一ヶ月以内に切った?切ってない?
ネコ派?犬派?
水族館派?動物園派?
など

お題に沿って、養生テープで引かれた線で分かれる「線引きゲーム」!

ええ~!髪を1ヶ月以内に切った人の方が多いの⁈予想外!などなど、盛り上がりました。

近藤「コチ(戯曲に登場する、国から独立しようとする地方)の存在は、今上演するとどうしてもパレスチナに繋がってしまう。社会問題にならざるを得ないけど、第一場はゲーム感覚なのがよいのかも」

再び台本を持ち、セリフと仲良くなろう

・気になるセリフを一人ひとつ選ぶ

・誰に聞かせるわけでもなく言ってみる。これで、セリフと少しだけ仲良くなれた。

・2回繰り返すところを決めて繰り返す。繰り返す場所によってなんか変わるねってことに気付く。

・この空間で、どの場所で、どんな体勢で、言ったら居心地がよい?→仮にでも発見したら繰り返してみよう

・台詞の頭、真ん中、終わりを意識して言ってみる(物事には始め、中、終わりがあるよね)できれば、体の動きもしっくりさせる。それを形作ってみる。

・お互いに見合ってみよう。

近藤「セリフって膨大だから、仲良くなるのに時間がかかる。このワークを経て、言うのが怖くなくなったかも?」

抽象的なワークでしたが、「意識するだけでいい」「正解なんてない」という近藤さんの言葉がけで、参加者それぞれのやり方で台詞と仲良くなることができました。

この後は、イスを使って、最初の「マタギ」「アケビ」のシーンを演じてみました。関係性を探るワークです。

同じ役なのに、演じる人によってかなり違う関係性が生まれて、演劇の面白さを再確認しました。

演技を続けるために。ユース世代のうちにやった方がいいこと

最後に、全員で今日の感想を言い合いました。

参加者からはこんな感想が。

・やったことのないアプローチだった。視点が増えた。

・セリフと距離を縮めるのが印象的。

・シンプルに楽しかった。演劇のゲーム性。普段考えすぎなのかも。

・前提として楽しく考えてよいんだな。イスを動かしながら、自分を客観的に見られた。

・セリフをどう意図を持って伝えるかが、イスのワークでわかりやすかった。
しっくりくる場所でって言うのは難しい。対象物があったほうがやりやすい。

・遊ぶという感覚、たしかに。読解しなきゃって根を詰めなくても、学びがある。

・私はもともと根を詰めない性格なので、丁寧にセリフなどやりたいって思った。

近藤さんにとって、本気で演技を続けたいユース世代が「今のうちにやった方がいいこと/やらない方がいいこと」とは?

近藤

全部やったほうがよい。今日は、それを(整理できてない部分も含めて)みなさんに投げました。短い時間でかなり詰め込んだので、ハードだったかもしれない。」

やらない方がいいことは、ないと思う。犯罪以外は(笑)」

「演技以外のことで言うと、人に出会う、どこかの場に参加するっていうのはやったほうがよい。」

「だけど、疲れたら逃げて良い。どうしても役者をやると疲れる。人に会わなきゃ、吸収しなきゃとか。がんばりすぎている自分を含めて、まるごと認めてあげてください。」

シアターゲームで自己紹介!本企画ディレクターの朝果・前田が進行。

次回は11月25日、俳優・清水いつ鹿さんのワークショップです!レポートをお楽しみに。

『少しはみ出て殴られた』成果発表公演はどなたでもご覧になれます!

1月21日(日)14時~  八王子市学園都市センター・イベントホール 無料。要チケット。

申し込み方法など決定次第公開します。

ディレクター紹介

本企画の立案者の紹介です。企画の進行・宣伝の他、ワークショップ参加・成果発表公演に出演します。

朝果(ともか)

桜美林大学演劇ダンス専修3年。演劇ネットワークぱちぱち立ち上げメンバー。

ディレクターズメッセージ:

大学の授業内や、観劇で他の役者さんを見る時に、自分よりもうまいと感じることが多いです。その域まで到達するためにどうしたらいいかわからなくて、悩んでいます。よい演技者になるために、自分を磨きたいです。みなさんも一緒に「少しはみ出て殴られた」を稽古・発表しましょう!

前田柚希(まえだゆずき)

桜美林大学演劇ダンス専修3年。演劇ネットワークぱちぱちには2021年12月の公演『むかしむかし、あるお家に』より参加。

ディレクターズメッセージ:

大学の授業では大人数なので、一人一人を丁寧に教えてもらえる機会はほとんどありません。また、自分よりもキャリアがある方と外部で共演することはあるけれど、演技を教えてもらうようなコミュニケーションがないため、この企画を立ち上げました。本企画を通して、いろいろな俳優の方に出会いたいです!

若尾颯太(わかおそうた)

桜美林大学演劇ダンス専修卒業。24歳。演劇ネットワークぱちぱち立ち上げメンバー。

ディレクターズメッセージ:

演劇を学んでいる学生が、主体的に企画を回していく場が少ないと思います。俳優志望の彼らが学生のうちから、出演者のうちのひとりとしてではなく、主体的に場を作っていく経験が必要だと思っています。この企画をそのモデルになる企画にしたいです。

プロデューサーメッセージ

演劇ネットワークぱちぱち総合ディレクターの中込遊里です。本企画のようなぱちぱちメンバー発の企画ではプロデューサーを担当します。

私は、幼少期から演劇がとにかく大好き!で、学生時代は演劇に打ち込み、日本大学芸術学部演劇学科で演出を学びました。学生時代には仲間ができて、それなりに知識もつきましたが、卒業後演劇を続けるにあたっては、自力で道なき道を切り拓いていく必要がありました(それは今も続いています)

演劇を続けるにあたって「自分にはなにができるのか」「自分の得意分野はなにか」「どこに課題があるのか」など自己を把握するのは大変重要です。それらは自分で考えていてもわかりません。他者から客観的に評価をしてもらって初めてわかることです。

ですので、他者と出会うことは自分のスキルアップのためにとても大切です。とくにユース世代のうちから、現場で活躍する経験豊富な実演家との出会いがあれば、将来の可能性が広がるはずです。

今回のワークショップと成果発表を経て、参加者ひとりひとりが、演技における自分の能力の現状と将来の目標を自分の言葉で語れるようになること。長期的には、自分の強みを生かして他者から必要とされる俳優となること、を願っています。

お問い合わせ

企画制作・演劇ネットワークぱちぱちまでどうぞ。

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メール network.pachipachi☆gmail.com (☆をアットマークに変えてください)

演劇ネットワークぱちぱち とは

18歳~25歳という社会に飛び出したばかりの世代が、「自分らしい演劇の続け方」を考えたり試したりするための「仲間」「知識」「場所」と出会えるプラットフォームです。劇団とも学校とも違う、演劇を通したゆるやかな繋がりの場です。たくさんの取り組みを行い、それがどうなったのかを発信していきます。

演劇ネットワークぱちぱちのミッションは、〈八王子から発信する、演劇を続けるための環境作り〉です。

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