#マジゲキ ワークショップ記録レポート

こんにちは!ぱちぱちディレクターまゆたそです。

2023年4月末、「高校生とプロの演劇人が一緒に本気で演劇をつくる11日間」通称「マジゲキ」がついに始動しました!高校生がメインのプロジェクトではありますが、企画制作はぱちぱちです。つまり、U25の我々にとっても学びの場であるということ。参加したぱちぱちメンバーがこのワークショップを通して何を思い、何を得たのか、ワークショップの写真と共に、記録していきます。


◎6月5日(月)ワークショップ全日程終了!記録レポートを更新しました!

このレポートを書いたひと ※年齢は2023年5月時点のものです。

あおちゃん(制作)20歳
元演劇部。大人と高校生が一緒に創作できる場を作るお手伝いをしたくて参加した。
まゆたそ(制作)24歳
このプロジェクトの広報担当なので写真が無い。高校の教員免許を持っている。演劇教育に興味があり、面白そうなので運営として参加した。
あきな(ファシリテーター)23歳
高校演劇出身で、大人と作る系の演劇WSが好きだったから参加した。
すみす(アシスタント)19歳
このプロジェクトの話を聞いて、やりたい!と名乗りを挙げた。
ジャッキー(ぱちぱちメンバー)21歳
「高校生とワークショップやってるけど来る?」と聞いたら「行きたいです!」と来てくれた。俳優。

マジゲキとは?

「高校生とプロの演劇人が一緒に本気で演劇をつくる11日間」の略称。八王子を中心とした多摩地区の高校を巡って沢山の人と出会い、そこで出会った仲間たちと共に、プロの演劇人が本気で演劇公演を上演するプロジェクト。

4月〜5月は多摩地区の高校を巡ってワークショップを行い仲間を増やし、6月からは『夏の夜の夢』の稽古期間に入り、7月29日・30日に日本工学院八王子キャンパスにて本番を迎えます。このレポートは5月までのワークショップ期間にどんなことが行われたのか記録するためのものです。

マジゲキについてをもっと知りたい方は下のリンクをクリックしてください。↓

①4月22日(土)14:00〜17:00 場所:府中高校

『夏の夜の夢』の相関図を解説する演出の早坂さん

参加したひと

高校生:18人(府中高校:13人、日野台高校:3人、昭和高校:2人)

先生:3人

運営:5人

あおちゃんの感想

 今回のプロジェクトには制作として携わっているのですが、今日は高校生の皆さんと一緒にワークショップに参加しました!

最初は名前を覚えるために、じゃんけんゲームからスタート。

想像以上の盛り上がりで、白熱したバトルが繰り広げられました。学校、学年関係なく混ざり合って短い時間で和気藹々とした雰囲気に。

次に行った二言のセリフだけで2人芝居を作るワークでは、短いセリフから関係性やシチュエーションを作り出し、ペアの息もぴったりな楽しい作品が次々とできあがりました。私自身も思い付かなかったようなユニークな設定や演技に出会えました!

最後にシェイクスピア『夏の夜の夢』から、一部分のシーンを創作。四人組になって設定を考え、短い時間でライサンダー、とハーミア、ディミートリアスとヘレナのペアのシーンを作り、発表しました。チームによって全く違うキャラクターや背景が生まれ、お互いに発表を見合い、他のグループの表現に触れ、私も大きな刺激に!夢中で見てしまいました。

飛び入りな感じで参加したのですが、参加者の皆さんのエネルギーに巻き込まれて、心の底から楽しんじゃった二時間半でした!

今回のワークショップは、高校生や先生、そして私たちも含めた皆さんが演劇を介して出会う、とても良い出会いの場となりました。また、他者の表現に触れることもできた貴重な時間だったと思います!

次回のGW集中ワークショップでもたくさんの人と表現に出会える時間にしたいです!!

高校生参加者の感想

「いろんな人と楽しみながら演劇ができて良かったです!」「とても楽しくて、もっともっとやりたい!!と思いました。このような機会を設けてくださってありがとうございました!」「セリフを少し変えるだけであんなに面白くなるんだっていう発見があった!! ワークショップあっという間だっただけど楽しかった!!」

「久しぶりにコロナ前のワークショップに近い形で開催していただき、ありがとうございました。やはり、生徒たちが直にふれあう形でかかわりあいながら、創作していくのは、見ていて頼もしいし、何より生徒たちの距離がすぐに近くなっていくのがよかったです。 また、素晴らしいファシリテーションで、生徒たちが無理なく楽しく、しかもかなり高い目標に向かってワークができていたのが、とても勉強になりました。 今後も、どうぞよろしくお願いいたします。」(先生)

②GW集中演劇ワークショップ(5月5日〜5月7日) 場所:八王子いちょうホール 

シェイクスピアとはどの様な人物?ワークショップ中盤に、早坂さんによるミニ講義が始まりました!
ワークショップの最初は必ず全員が車座になります。

参加したひと

高校生:23人(日野台高校:7人、明大中野八王子高校:5人、日野高校:5人、府中高校:3人、相模女子:1人、総合芸術高校:1人、有志国際高等学校:1人)

先生:3人

運営:7人

あおちゃんの感想

 今回も府中高校WSに続いて、ファシリテーター補佐として参加しました!

 7つの学校から集まった皆さんと3日間通して私も「創作」にじっくりと向き合えました。1日目からチームになってお題からシーン創作し、2日目、3日目は実際にフェーズ2で上演する『夏の夜の夢』のシーン作りをしました。それぞれのシーンの役のセリフ、行動から心情を考え、役を生き生きと立体化させるということを真剣に取り組んでいたのがとても印象的でした。自分の役だけではなく、他の役に対しても積極的にアイデアを出し、チームで作るという向き合い方が自然にできていてとてもいいなあと思いました。何より楽しそうで、2日目の振り返りコメントでやりたくなってしまったとコメントしたら3日目に運営チームも上演戯曲の最後のシーンを発表することに!緊張しましたが、参加者の皆さんと一つの大きな作品が一緒に作れ、WSがお祭りのような楽しい雰囲気で終われたと感じました。

また、目標である「出会う」を私自身もできているなあと感じている三日間でした。1人の演劇を学ぶ大学生としても、演劇に興味のある高校生の皆さんと話したり、一緒にWSに取り組んだり。想像の何倍以上も大きな刺激になりました。3年生で、これからのことなど、難しいことを考えたりするのですが、やっぱり演劇サイコー!!!となっちゃいました。

参加者の皆さんとシーン作りをして、一つのものをみんなで作り出していくのって、難しいところもたくさんあるけれど、考えて練習して、真剣に取り組む楽しさも経験できることだなあと改めて感じました。私が演劇を好きなのもそんなところなのかもしれません。

 WSはあと2回です!

まだまだたくさんの人と出会って、参加者の皆さんと楽しく演劇ができたらできたらと思います。

まゆたその感想

 今回まゆたそは、自分なりにミッションを立てました。

・参加する人たちに「楽しかった!」と思ってもらうこと

・広報として、演劇ネットワークぱちぱちをもっと知ってもらうために発信すること

・演劇ワークショップ講師としての経験が豊富な早坂さん・キミーの場の回し方を学ぶこと。

 高校生の時に参加した演劇ワークショップ(以下、WSと表記)は、どれもとにかく楽しかったことを覚えています。何を隠そう、私の「まゆたそ」というあだ名も、高3でWSに参加した際に講師の方に付けてもらった名前です。私にとってWSとは、自分と同じ様に演劇が好きな同世代の人たちと一緒に遊ぶ場、楽しいことしかない場所でした。だからこそ、とにかく「楽しかった」と思ってもらう事を目標にしたのです。

WS始まってみると本当に色々な場所から沢山の高校生たちが集まってきてくれて、それだけで私は「これは絶対楽しいことになる」と確信しましたので、とにかくこの楽しい雰囲気を記録に残そうと写真と動画を撮り続けた3日間でした。早坂さんやキミーのやり方を見ていた中で、印象に残ったのは、2人ともノート(ダメ出し)の際に絶対に否定形を使わないことでした。どんな些細な事でも必ず良い点を丁寧にすくい上げ、その後に「ここが勿体なかった」「惜しかった」という言い方をしていました。教育的観点からもとても上手だなと感じましたし、真似したいと思いました。

あきなの感想

 高校時代に、大人×高校生の演劇WS公演に何度か参加していて、その時の記憶はキラキラ楽しかった思い出ばかりだったので、与える側の人になりたいとずっと思っていました。今回参加してくれた高校生たちが、高校生の頃の私のように良い思い出を作れていたらいいなと、これから開催されるWSや稽古でもその手伝いができたらいいなと思っています!

 さて、ファシリテーターをしてみて、一番むずかったのがウォーミングアップで行ったゲームや事前知識ない物に対してフィードバックを返すことでした。瞬時に感想を伝えたりするのはすごく難しく、モドモドしてしまったり私が今苦しんで感想を出していることが伝わってしまっていた気がします。そのことをきみーに相談したところ、「自分の強みを理解して、それを全面に出してごらん」と。私がフィードバックを出せないのは、語彙力がないからだとか頭の回転が遅いだとかが原因だと思っていたのですが、それを聞いて何をみたらいいか分からずに見ていたことが原因なのかもしれない!と気がつきました。

 私は大学で演出コースを選考して卒業後も演出をやりたいと思っています。その視点で見たらいいんだというのがわかったことで、なんだかできるかもしれないぞ…!と思えてきました。自分がもっている知識や武器をうまく活かしていくことが大事なのだなぁ。それもまた、難しいことなのですが何もわからずウロウロしていた時よりも確実に成長ができていることが嬉しく、わくわくしています!今回の全てがとても勉強になっていて、成長の機会を頂けたことが嬉しいです!頑張るぞー!

すみすの感想

 他校の演劇をする高校生たちと出会い、プロの方と一緒に演劇をつくることができるという、自分にとって大きな刺激を受けた経験をいまの高校生にも体感して欲しいと勝手ながらに思いまして、この企画にアシスタントとして参加させていただきました!

 集中WSで印象深かったのは、2日間にわたって行った「夏の夜の夢」の各場面をグループに分かれて作るコーナー。国も時代も言葉も違うので、もちろん最初は皆さん戸惑っているようでした。しかし講師の方に教わった空間の共有と演技に嘘をつかないということを中心に、グループでどうにか場面を作ろうとお互いの役への理解を共有する姿が見られました。最初はグループに入った大人から「どんな場所だと思う?」「どんな気持ちかな?」 など問われて考えこんでしまうこともありましたが、2日目になると自ら「この時のヘレナは怒っているだけじゃなくて諦めの気持ちも入っていると思う。」と意見が出るほど意識をすることが出来ていました。練習時間残りわずかであっても演出の早坂さんに貰ったアドバイスに真摯に向き合い、各グループが時間ギリギリまで劇を良くしようと練習していたのも印象的でした。

最終発表ではお互いの場面を見合って、各グループの作り上げた空間を感じることができました。

最後に円になって感想を言い合ったときに、「この3日間で高校に持ち帰るものができた」という声も聞かせていただき、色んなことを感じて下さったのがアシスタントながらに嬉しかったです。

この集中WSで出会った高校生と、今年の夏に「夏よ夜の夢」をつくりあげるのがさらに楽しみになりました。

高校生参加者の感想

「短時間で舞台をみんなで作れて楽しかったです!」「役者として吸収できることがたくさんあり、とても有意義でした。そしてとても楽しかったです!!!」「これから演劇をやるときに必要なスキルが学習できたし、それをどう活用したらいいかを考えることができました」

次回への課題

あおちゃん:全体を広く見て、引っ張っていく力をつけて行きたい。

まゆたそ:写真を撮るだけでなく、積極的に高校生たちと交流する。まず彼らの名前を覚える。

あきな:自分の強みを生かして、フィードバックを返せるようにする。

③5月27日(土)14:00〜17:00 場所:明治大学付属中野八王子高等学校

車座になって、運営チームの自己紹介から始まりました!
キミーの体幹ストレッチより。みんなで1分間、プランクもやりました

参加したひと

高校生:11人(明大中野八王子高校:10人、日野高校:1人)

先生:2人

運営:5人

あおちゃんの感想

 なんと!5月27日、28日はワークショップラストでした!最後まで新しい出会いがあり、発見がある時間になりました。今回は私が大きくファシリテーター補助としてグループシーン創作に関わるというよりも、参加者の皆さんがアイデアを出し合い、作っていくのを見させてもらう、という立ち回りになりました。GWワークショップで出会った皆さん、そして今回初めて出会った皆さんのシーン創作を見て、演劇におけるコミュニケーションや見え方など、私自身創作への興味がさらに増しました。

 今回のワークショップにはキーワードとして「ミザンス」という言葉が現れました。意味は「舞台上の役者の美しい位置関係」です。お客さんが客席から舞台を見て、「この瞬間、かっこいいな!」など、印象を与えるには?についてとても考えて、意識して取り組んでいました。

27日は森の中の妖精たちのシーンを舞台を広く効果的に使い、2グループ全く違う森が出現。台本をよく読み込み、キャラクターの動きや表現にチームの色が現れていました。28日は職人たちの芝居の稽古のシーンを。家の中の配置を考え、このキャラクターはここにいる、このキャラとこのキャラはこういう関係性で、こんな動きをしている、等、関係性や性質を空間を使い表現!話し合いがどんどん進み、エネルギー溢れる創作現場になっていました。


 そして!これから稽古が始まり、『夏の夜の夢』公演へと向かっていきます。一つの作品に、私も一緒になって楽しんで取り組んでいきたいと思います。

まゆたその感想

 前回と変わらず広報用の写真を撮ることはミッションとして掲げながら、課題だった「高校生との交流」を意識しながらのワークショップでした。今回はマジゲキでありながら、明大八王子の演劇部の活動時間内ということで、体幹トレーニングをしっかり行い、見え方を細かく伝えるなど、GWに比べて高度なものだったように感じました。

 27日は明大八王子のとても広いホールの舞台面を使わせてもらったので、その間口の広さを生かし、森の妖精たちとパックの会話の場面を作りました。台本を渡されてすぐ、短い稽古期間で1からシーンを作るのは大変なことです。しかもシェイクスピアは古典作品。高校生たちにとっては聞いたことも言ったこともないセリフのオンパレードです。比喩表現や倒置法、韻を踏む詩的な言葉たち、それらが長ゼリフで襲ってきます。初見で口に馴染ませるだけでも大変なのに、動いて演出まで考えなければならない。それも違う学校の人たちと一緒に。……高度です!とても高度なことを求められています。凄いです高校生。発表ギリギリまで練習し修正する姿を見て、本当に演劇が好きなんだなあと思いました。なので褒めることはとても簡単なのですが、折角なので記録動画を撮っていて気が付いたことを率直に伝えました。

 今後は制作・広報として、高校生たちの本気で一生懸命な姿をしっかり伝えられるように、一人一人と「本気で」向き合っていきたいと思います。

④5月28日(日)東京都立昭和高等学校

猫のポーズでべたーーー
つま先は揃えてくっつけて、互いに引っ張り合いながらグループ全員で立ち上がるワーク
シーン創作中のみんな

参加したひと

高校生:10人(昭和高校:4人、明大中野八王子高校:6人)

先生:1人

運営:6人

すみすの感想

 今回は昭和高校さんに会場をご提供いただきました!

 印象に残ったのはすぐに割れてしまいそうな1枚の薄いクリスタルを隣の人に回していくゲームです。もちろんクリスタルはそれぞれの想像です。相手がどんなクリスタルを持っているのか、しっかり感じて想像して1つのクリスタルを作り上げようとしなければ、同じものを回しているようには見えなくなってしまいます。もろくて大切なものを持っている緊張感が伝わってきましたが、回していくうちにどんどん形が変わって終わった頃には板状だったクリスタルが立体的な立派なクリスタルになってしまった班もありました。そこには無い同じものを人と感じ合うって難しいんだなと感じました。

 そして今回は、舞台上における効果的な役者の位置である「ミザンス」を意識して夏の夜の夢のワンシーンを作り上げました。各6人のチームがそれぞれどの場所にいたら空間が伝わるか試行錯誤していましたが、そこでみんなを引っ張ったのがスペシャルゲストのぱちぱちメンバーで俳優のジャッキー!自然と人のいない空間を埋めて、距離が離れていても相手を見つめ受けて誰と会話をしているのか明確に表現されていて流石でした!参加した高校生もジャッキーの演技から学べることが沢山あったように見えました。

ジャッキーの感想

 今回初めて参加させて頂きましたが、高校生にしか出せない発想力、行動力は、今後の活動の参考になりました。

 私は高校生と混じって、一緒に夏の夜の夢を創りましたが、チームのリーダーがしっかりまとめており、一人一人が意見を出し、全員の意見を変に否定しなかったので、非常に楽しくお芝居が出来ました。今現在、不毛な時代の中で彼らがいかに将来、どのように羽ばたくかが楽しみです。いつか共演という形があるかもしれない…!と自分自身を鼓舞しました。

 そして、夏の夜の夢に参加を迷われてる方々、演劇というのは本当に人を感動させるものなので、「感動させたい」という方々、お待ちしております!今回はありがとうございました!

5/31(水)出演者・スタッフ募集終了。6/3(土)から稽古開始です!

沢山のご応募、本当にありがとうございました!集まった高校生10名と共に『夏の夜の夢』を上演します。