【レポート②】講師:清水いつ鹿さん「プロの俳優を目指すユース世代のための演技ワークショップ」

演技ってなんだろう?11人の18歳~25歳が真剣に考えた3カ月間の記録(第二回)

演劇ネットワークぱちぱちでは、本気で演技をやりたい!プロの俳優になりたい!18歳~25歳のユース世代のためのワークショップと成果発表公演を開催しました。この記事ではその様子をお届けします。

第一回目はこちら

どんな企画?

演劇ネットワークぱちぱちメンバーの朝果・前田柚希・若尾颯太による企画です。

ワークショップ・稽古・成果発表公演を通して、演技のスキルアップを目指します。

最終目標は、本気で演技に取り組みたいユース世代が自分の現在地を知り、プロになるための道筋を見つけること。

ワークショップの共通テーマは、

本気で演技を続けていきたいユース世代が「今なにをするべきか」「今何をしないべきか」

経験豊富な俳優の方々に様々な手法で伝えていただきました。

第二回ワークショップ|講師・清水いつ鹿

11月25日(土)ワークショップ講師

清水いつ鹿(しみずいつか)

俳優。日本大学芸術学部演劇学科演技コース卒業。鮭スペアレ所属。 15歳から俳優として舞台に立ち、鮭スペアレには第2回公演より全作品に出演。『鮭スペアレ版・マクベス』マクベス役。『幽玄音楽劇・ロミオとヂュリエット』ヂュリエット役など。安定した低音音声で鮭スペアレの劇世界の根底を支える。 殺陣を特技とし、シェイクスピア作品にしばしば登場する闘いのシーンでは振付も行う。



(photo by bozzo)

3時間のワークショップ。9人のユース世代が参加しました。

アイスブレイクで和気あいあい♪

第一回に続き、ディレクター朝果・柚希によるアイスブレイク!

今日は、ぱちぱち定番?の「自己紹介ゲーム」と、「順番に並ぼう」で盛り上がりました。

「順番に並ぼう」では、お題に沿って順番に並びます。

ただし、「声を出さない」がルール。

・年齢の低い~高い
・家が近い~遠い
・身長が低い~高い etc…

ワークショップも2回目。今回が初参加の方もいらっしゃいましたが、和気あいあいとした雰囲気でとても楽しそう!

(引き続き)『少しはみ出て殴られた』第一場を読んでみる

初回に引き続き、成果発表公演で挑む戯曲『少しはみ出て殴られた』(作・土田英生)の第一場を読みます。

今回の清水さんのワークショップのモットーは「ゆるく、たのしく」

温かな雰囲気の中で、第一場を読み始めます。

清水「この作品は、最初と最後で登場人物たちの関係性が変わってしまうところが、かなめになっている。その時、登場人物たちの身体がどうなっているかという視点で考えてみよう。

第一場、どんな“身体”?

第一場を読んでみて、登場人物たちの身体や関係を分析。

清水「更生施設なので、登場人物たちは緊張状態なのかな? みんなどのくらいの長さ一緒にいるのかな?」

参加者からはこのような意見が。

  • 長いと1年くらいいるかも。
  • 3年くらいかな?こんなに冗談言える仲だし。
  • 「ナカゲガミ」が一番長くいるのかな。
  • 年齢もバラバラのように見える。
  • 工場の派遣バイトみたいな関係性に見える。

空間を作ってみる

モットー通り「ゆるく」いつの間にか(?)立ち上がる参加者たち。次は、空間を作ってみるようです。

登場人物の距離感、これでしっくりくる?
なんのためにここに来たんだろう?
身体はどんな状態?温度は?
内臓はどうなっているか?
などなど…。

清水「台本を読むだけだと意識しないところをちょっと考えると、演技の手がかりになると私は思う。」

「頭だけで作ると苦しくなる時があるから、体を意識してみると楽になることがある。」

第五場(最終場)を読んでみる

一気に最終場まで飛んで、「一場とは関係性が変わってしまった」第五場を読みます。

再び空間を作り、身体を動かしながら、関係を探っていきます。

清水「気まずい時、どんな体の状態になる?」「例えば、真っ直ぐ相手を見られるか?」

清水さんの言葉がけによって、参加者のみなさんは台本を持って演じながら、「どんな身体感覚になるか」「身体のどこが変化するか」を常に意識しました。

演技を続けるために。ユース世代のうちにやった方がいいこと

最後に、全員で今日の振り返り。

清水さんにとって、本気で演技を続けたいユース世代が「今のうちにやった方がいいこと/やらない方がいいこと」とは?

清水

やったほうがよいことは、苦手なことを決めつけないこと。「なんでこの役が私に?」って思う役が来ることもあるけど、相手はそれが合うと思ってることがある。」

何かに挑戦するのに年齢は関係ない。年齢を理由に何かを諦めるのはもったいない。」

「やらない方がいいことは、あまりない。しいて言えば、心がつらいところにはあまりいない方が良い。大事にされてないとか、ぞんざいに扱われているとか。」

講師・清水いつ鹿さんと参加者のみなさん!楽しい時間をありがとうございました。

次回は12月17日、俳優・福原冠さんのワークショップです!レポートをお楽しみに。

『少しはみ出て殴られた』成果発表公演はどなたでもご覧になれます!

1月21日(日)14時~  八王子市学園都市センター・イベントホール 無料。要チケット。

12月20日、申し込み開始です。申し込み方法など決定次第公開します。

ディレクター紹介

本企画の立案者の紹介です。企画の進行・宣伝の他、ワークショップ参加・成果発表公演に出演します。

朝果(ともか)

桜美林大学演劇ダンス専修3年。演劇ネットワークぱちぱち立ち上げメンバー。

ディレクターズメッセージ:

大学の授業内や、観劇で他の役者さんを見る時に、自分よりもうまいと感じることが多いです。その域まで到達するためにどうしたらいいかわからなくて、悩んでいます。よい演技者になるために、自分を磨きたいです。みなさんも一緒に「少しはみ出て殴られた」を稽古・発表しましょう!

前田柚希(まえだゆずき)

桜美林大学演劇ダンス専修3年。演劇ネットワークぱちぱちには2021年12月の公演『むかしむかし、あるお家に』より参加。

ディレクターズメッセージ:

大学の授業では大人数なので、一人一人を丁寧に教えてもらえる機会はほとんどありません。また、自分よりもキャリアがある方と外部で共演することはあるけれど、演技を教えてもらうようなコミュニケーションがないため、この企画を立ち上げました。本企画を通して、いろいろな俳優の方に出会いたいです!

若尾颯太(わかおそうた)

桜美林大学演劇ダンス専修卒業。24歳。演劇ネットワークぱちぱち立ち上げメンバー。

ディレクターズメッセージ:

演劇を学んでいる学生が、主体的に企画を回していく場が少ないと思います。俳優志望の彼らが学生のうちから、出演者のうちのひとりとしてではなく、主体的に場を作っていく経験が必要だと思っています。この企画をそのモデルになる企画にしたいです。

プロデューサーメッセージ

演劇ネットワークぱちぱち総合ディレクターの中込遊里です。本企画のようなぱちぱちメンバー発の企画ではプロデューサーを担当します。

私は、幼少期から演劇がとにかく大好き!で、学生時代は演劇に打ち込み、日本大学芸術学部演劇学科で演出を学びました。学生時代には仲間ができて、それなりに知識もつきましたが、卒業後演劇を続けるにあたっては、自力で道なき道を切り拓いていく必要がありました(それは今も続いています)

演劇を続けるにあたって「自分にはなにができるのか」「自分の得意分野はなにか」「どこに課題があるのか」など自己を把握するのは大変重要です。それらは自分で考えていてもわかりません。他者から客観的に評価をしてもらって初めてわかることです。

ですので、他者と出会うことは自分のスキルアップのためにとても大切です。とくにユース世代のうちから、現場で活躍する経験豊富な実演家との出会いがあれば、将来の可能性が広がるはずです。

今回のワークショップと成果発表を経て、参加者ひとりひとりが、演技における自分の能力の現状と将来の目標を自分の言葉で語れるようになること。長期的には、自分の強みを生かして他者から必要とされる俳優となること、を願っています。

お問い合わせ

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演劇ネットワークぱちぱち とは

18歳~25歳という社会に飛び出したばかりの世代が、「自分らしい演劇の続け方」を考えたり試したりするための「仲間」「知識」「場所」と出会えるプラットフォームです。劇団とも学校とも違う、演劇を通したゆるやかな繋がりの場です。たくさんの取り組みを行い、それがどうなったのかを発信していきます。

演劇ネットワークぱちぱちのミッションは、〈八王子から発信する、演劇を続けるための環境作り〉です。

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