演技ってなんだろう?11人の18歳~25歳が真剣に考えた3カ月間の記録(第三回)
演劇ネットワークぱちぱちでは、本気で演技をやりたい!プロの俳優になりたい!18歳~25歳のユース世代のためのワークショップと成果発表公演を開催しました。この記事ではその様子をお届けします。
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どんな企画?
演劇ネットワークぱちぱちメンバーの朝果・前田柚希・若尾颯太による企画です。
ワークショップ・稽古・成果発表公演を通して、演技のスキルアップを目指します。
最終目標は、本気で演技に取り組みたいユース世代が自分の現在地を知り、プロになるための道筋を見つけること。
ワークショップの共通テーマは、
本気で演技を続けていきたいユース世代が「今なにをするべきか」「今何をしないべきか」。
経験豊富な俳優の方々に様々な手法で伝えていただきました。
第三回ワークショップ|講師・福原冠
3時間半のワークショップ。7人のユース世代が参加しました。
12月17日(日)ワークショップ講師
福原冠(ふくはらかん)
俳優。神奈川県出身。 劇団「範宙遊泳」に加入、以降国内外での公演に参加。 演劇ユニット「さんぴん」では、『君の人生の断片は、誰かの人生の本編だ』をキーワードに「人を通して土地を描く」創作もしている。2016年からは俳優・ダンサーによる稽古会を企画。また、ワークショップファシリテーターとして学校で劇場で演劇のワークショップや演劇を使ったコミュニーケーションの授業も積極的に行なっている。
主な出演作に『バナナの花は食べられる』『うまれてないからまだしねない』(山本卓卓演出)『BGM』『オムニバス・ストーリーズ・プロジェクト(カタログ版)』(三浦直之演出)『シラノ・ド・ベルジュラック』『探り合う人たち』(永井愛演出)『人類史』(谷賢一演出)、『グリークス』(杉原邦生演出)、『HAMLET -ハムレット-』(森新太郎演出)。など。
(photo by bozzo)
福原さんが立ち上げた俳優のための「稽古会」とは
講師の福原冠さんのお話から始まりました。
福原さんは、劇団やユニットに所属して舞台に出演するのみならず、俳優のための「稽古会」を企画しています。その成り立ちとは?
演じる場が足りない!
福原
「お芝居をやろうと志したものの、常に演技の場があるわけではない。運などに左右されることがあります。役者なのに、役者がやれない。自分はなにものなんだろう?というのが、31歳くらい。眠れない夜を過ごすこともありました。」
「じゃあ、自分で場を作ろう!と決めたんです。公演の本番も好きだけど、リハーサルの時間も好きなので、稽古する分には自由だ、と。」
稽古会は「演劇の手前」
福原
「稽古会では、まず、仲間うち二人とかで始めて、台本を読んでみました。名作と呼ばれる『ハムレット』とか『三人姉妹』とか。でも、2人で15役とか、大混乱(笑)」
「それで、仲間がだんだん集まってきて、僕が身体を動かすのも好きだから、ダンサーも混ざって。出自が違うと、持ってるものがぜんぜん違うんですよね。」
「稽古会は、いろいろな人が集まって、哲学する場所になってる。僕は「演劇の手前」って呼んでるんです。」
「これから演劇を創る人は、よい観客になってほしいと思います。よい観客になる=漠然とものを見ないで、具体的に見る。具体的に見るには、方法を知らないといけない。」
ワークショップってなんだろう?
福原
「ワークショップって、日本語で言うとなんだろう?」
参加者からは、「技術屋」「練習」などの返答が。
福原
「“稽古”は、きめを細かくする作業、具体的にしていく作業だと思う。“トレーニング”は鍛錬とか、積み重ねる作業かな。」
「じゃあワークショップってなんだろう?各々の解釈で捉えている。オーディションのつもりの人もいるだろう。」
「今日は、“うまくなる”ためのワークショップではなくて、演劇そのものを面白がること、自分自身を知っていくことを目指しています。」
身体をゆるめる・身体と関係をとる
お話のあとは、2時間あまり、「身体」にフォーカスしたワークショップを行いました。
立つ、歩く、寝る、はいはい。
スピードを変えたり、リズムを味わったり。
背骨を意識。
空間と関係を取る。
台本は使わずに、身体にフォーカスします。
呼吸を深めて、体と関係を取る濃密な時間が紡ぎあげられます。
演技を続けるために。ユース世代のうちにやった方がいいこと
福原さんにとって、本気で演技を続けたいユース世代が「今のうちにやった方がいいこと/やらない方がいいこと」とは?
福原
「自分の物差しを作ること。」
「“私はこれは好き”“これに興味がある”を掘っていくと、“これは興味がない”“これは嫌い”ということが分かってくる。そうすると“これもいいな”“あれもいいな”と目移りしなくてすみます。
自分は何が好きか嫌いかを見極めること、それが自分の<美学>になる。」
また、参加者からの質問にも答えていただきました。(以下、一部を掲載)
Q:得意なことはなんですか?
A:変な動き!俳優として「二枚目(イケメン)」と言われることもあるし「三枚目(おもしろ担当)」としても活躍できるぞ、と思うけど、どっちも、自分よりレベルが高い俳優がいると思う。だから、自分の武器は「変な動きができること」だと思っています。
Q:演技って、誰でもできますか?
A:できます。友達が喋ったことを自分のことのように喋る、それだけで「演技」と言えます。
Q:役と自分との関係をどう考えていますか?
A:どうしてもその人(役)にはなれない、ということを自覚しています。ただ、どんな役でも「当事者」がいると思うようにしています。
『少しはみ出て殴られた』成果発表公演はどなたでもご覧になれます!
1月21日(日)14時~ 八王子市学園都市センター・イベントホール 無料。要チケット。
ご予約受付中!
俳優の卵が“名優”になっていくプロセスを目撃することができます。
今しか見られない瑞々しい“原石”に出会いに、ぜひ足をお運びください。
詳細はこちら
ディレクター紹介
本企画の立案者の紹介です。企画の進行・宣伝の他、ワークショップ参加・成果発表公演に出演します。
朝果(ともか)
桜美林大学演劇ダンス専修3年。演劇ネットワークぱちぱち立ち上げメンバー。
ディレクターズメッセージ:
大学の授業内や、観劇で他の役者さんを見る時に、自分よりもうまいと感じることが多いです。その域まで到達するためにどうしたらいいかわからなくて、悩んでいます。よい演技者になるために、自分を磨きたいです。みなさんも一緒に「少しはみ出て殴られた」を稽古・発表しましょう!
前田柚希(まえだゆずき)
桜美林大学演劇ダンス専修3年。演劇ネットワークぱちぱちには2021年12月の公演『むかしむかし、あるお家に』より参加。
ディレクターズメッセージ:
大学の授業では大人数なので、一人一人を丁寧に教えてもらえる機会はほとんどありません。また、自分よりもキャリアがある方と外部で共演することはあるけれど、演技を教えてもらうようなコミュニケーションがないため、この企画を立ち上げました。本企画を通して、いろいろな俳優の方に出会いたいです!
若尾颯太(わかおそうた)
桜美林大学演劇ダンス専修卒業。24歳。演劇ネットワークぱちぱち立ち上げメンバー。
ディレクターズメッセージ:
演劇を学んでいる学生が、主体的に企画を回していく場が少ないと思います。俳優志望の彼らが学生のうちから、出演者のうちのひとりとしてではなく、主体的に場を作っていく経験が必要だと思っています。この企画をそのモデルになる企画にしたいです。
プロデューサーメッセージ
演劇ネットワークぱちぱち総合ディレクターの中込遊里です。本企画のようなぱちぱちメンバー発の企画ではプロデューサーを担当します。
私は、幼少期から演劇がとにかく大好き!で、学生時代は演劇に打ち込み、日本大学芸術学部演劇学科で演出を学びました。学生時代には仲間ができて、それなりに知識もつきましたが、卒業後演劇を続けるにあたっては、自力で道なき道を切り拓いていく必要がありました(それは今も続いています)
演劇を続けるにあたって「自分にはなにができるのか」「自分の得意分野はなにか」「どこに課題があるのか」など自己を把握するのは大変重要です。それらは自分で考えていてもわかりません。他者から客観的に評価をしてもらって初めてわかることです。
ですので、他者と出会うことは自分のスキルアップのためにとても大切です。とくにユース世代のうちから、現場で活躍する経験豊富な実演家との出会いがあれば、将来の可能性が広がるはずです。
今回のワークショップと成果発表を経て、参加者ひとりひとりが、演技における自分の能力の現状と将来の目標を自分の言葉で語れるようになること。長期的には、自分の強みを生かして他者から必要とされる俳優となること、を願っています。
お問い合わせ
企画制作・演劇ネットワークぱちぱちまでどうぞ。
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メール network.pachipachi☆gmail.com (☆をアットマークに変えてください)
演劇ネットワークぱちぱち とは
18歳~25歳という社会に飛び出したばかりの世代が、「自分らしい演劇の続け方」を考えたり試したりするための「仲間」「知識」「場所」と出会えるプラットフォームです。劇団とも学校とも違う、演劇を通したゆるやかな繋がりの場です。たくさんの取り組みを行い、それがどうなったのかを発信していきます。
演劇ネットワークぱちぱちのミッションは、〈八王子から発信する、演劇を続けるための環境作り〉です。
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