ぱちぱちメンバーズファイル③〜森口夏希さん〜

ユース世代が「自分にとっての演劇の続け方」を試す場「演劇ネットワークぱちぱち」のメンバーの活躍と魅力を、ぱちぱち制作の齊藤舞夕が紹介します。

森口夏希(もりぐちなつき)

2003年6月30日生まれ20歳。東京都八王子市で生まれ育つ。ぱちぱち内では「もりもり」と呼ばれている。

3歳から水泳をやっており、ずっと水泳をやっていきたいという思いから水球部のある中央大学付属中学校を受験。高校に入ってからは掛け持ちで演劇部に入部。現在中央大学2年生。水の中が好き。「どぐうアーティスト」としての一面も持っている。

※これは2023年10月に行ったインタビューです。

演劇を始めたきっかけ〜合唱祭での指揮〜

齊藤

もりもりとは、去年の『むかしむかし、あるお家に』で出会いました。八王子に住んでいることもあり、ぱちぱちのイベントにいつも参加してくれているメンバーです。まずは、中学からずっと水球をやってきたのに、高校で急に演劇部に入ろうと思ったきっかけを教えてください。

森口

朝起きて、急に演劇部入ろうって思ったんです。

齊藤

でた!そのタイプ!神のお告げみたいな。

森口

そう!神のお告げです。

齊藤

それはいつ頃?

森口

中学の3年生の後半ぐらいに、(付属だから)受験もないし、「高校生になる〜!部活とかどうしようかな」って考えていて、その時に水球部はそのまま続けようかと思っていて、でもちょっと燃え尽きた感もあって…中学の最後に大会でやり切った感出ちゃって。だから「絶対水球部続けるぞ」という感じでもなくて。高校はライフル射撃部とかあったし。

齊藤

ライフル射撃部!???

森口

そう!めちゃくちゃ面白そうじゃないですか!高校になるとそういう部活が沢山あって。

齊藤

絶対迷うよね!水球やり切ったって思っていたなら尚更。それで部活動の種類も増えたから、中学の卒業式を終えて、ある朝ふと「演劇部入ろう」って思ったの?

森口

そんな演劇部意識してなかったけど…なんでだろう…。

1つ要因があるとすれば、卒業式の前の2月に合唱祭があったんですよ。そこで指揮者をやって、目立つじゃないですか。

一種の表現だと私は思っているんですけど。舞台に立って、指揮者やってるとき「自分、表現したな」っていうか。練習する過程も凄く頑張ったんです。自分の性格的に、すごい能力があるわけじゃないからまとめるのも難しいし。

齊藤

揉めるよね。合唱祭ってね。

森口

指揮者やってるときにすごい孤立感を感じて、歌っている人と合ってないっていうか、みんな横並びでずるいっていう。一緒に1つのものを作っているはずなのにすごい離れているように感じて。「やってて楽しくない」って指揮をしていて思ったから、思っていることをちゃんと言葉にして伝えたんです。そしたら、態度が変わって。怠そうに歌ってた人がちゃんと目線合わせてくれるようになって。歌い方とか気持ちとか(揃ってきて)。ただ歌を練習して終わっちゃうんじゃなくて、ちゃんとクラスで信頼関係を築くっていうか。お互いにコミュニケーションができたんです。

逆に、「この指揮が分かりにくい」「合図があったほうがいい」とかクラスのメンバーが言ってくれるようにもなったんです。自分も指揮やったことなくて見様見まねでやってたから、そういう意見が欲しくて。すごいコミュニケーションをちゃんとやった。

歌のクオリティとかじゃなくて、もうみんなの思いとか、気持ちとかを合わせて、通じ合いながら作ったから、「表現だ」って思ったんです。

齊藤

舞台に立つことや表現することが良かったのか、その過程が楽しかったのか、それはどっちだったの?

森口

練習したことが結果に繋がったんです。金賞貰えて、指揮賞ももらえて。結果になって。すごい色んな人からも褒められて。見てる側も伝わってくるものがあったのかなって。「全員が指揮者を向いてたよ」って言われて凄い嬉しかった。やってやった!表現した!って思った。

齊藤

それで「私、指揮者になるわ!」とはならなかったんだね(笑)

森口

人と話して作るの面白かったなって。

壁にしがみつくタイプの子ども時代

齊藤

もりもりはどんな子どもだったの?

森口

今と変わんないです。知識とかは昔に比べて増えたし、「言っていいこと・悪いこと」とかは分かるようになったけど、根本的な考え方や好きなものとかは変わってないです。

齊藤

私の中で、もりもりの印象は最初からずっと変わらず「良い子」なんだけど。

森口

いやいやいやいや。

齊藤

感情の起伏があんまりないというか、怒ってるところをあんまり見たことなくて。穏やかだし、他人に対して怒ることあるのかなって。

森口

え、ずっとキレてますよ。ちっちゃい頃とかコントロールができないから、嫌なことがあればすぐ泣くし暴れるし。

齊藤

へぇ〜!ちょっと考えられない。

森口

お風呂入りたくないときとかも、ギリギリまで拒否して。でも力が弱いから無理矢理連れて行かされて、服のままお風呂入ったりとか。

齊藤

やば。

森口

私は壁にしがみつくタイプなんですよ(笑)

齊藤

それはヤバいぞ(笑)

森口

親に怒られてるときも「お化けがいる」とか言って誤魔化したりとか、ターザンごっこがしたくてカーテンにぶら下がったら全部落ちちゃったとか(笑)

齊藤

だいぶ私の中でもりもりの印象が壊れた(笑)私は全然もりもりを知らなかったんだね…。

森口

そうです(笑)

ぱちぱちに参加したきっかけ

森口

高校2年生(2020年)の時に、『八王子学生演劇祭』(ぱちぱちの前身となった演劇祭)に出演しました。その作品で演出をしていた中込さん(現ぱちぱち総合ディレクター)と知り合って、2021年にぱちぱちができて、2022年に大学生になったので入りました。

齊藤

ぱちぱちに入って初めて参加したのが、2022年の『むかしむかし、あるお家に』

2022年『むかしむかし、あるお家に』
たましんRISURUホール(写真左側がもりもり)

森口

そうです。

齊藤

そのあとも「きょうげんあそび」(子どもと一緒に楽しむ演劇公演)とか、今年2月には「鳥公園のジコショウカイ展」(演劇団体「鳥公園」が自団体を紹介する為に開催したイベント。もりもりがディレクターの一人を担当しました)とか、色々やっているよね。

もりもりが企画制作した『ジコショウカイ展』の百問一答の展示

森口

暇だし、やりたがりなんで〜(笑)

鳥公園の企画とかは、「演劇団体の近くに行ってモノ作れるってめっちゃ良くない?」って思ったんですよ。だからやりたいって思いました。色々勉強できそうだし。近くに劇団に入っている人もいなかったし、色々分かんないからこそ色々気になって。劇団ってなんだろう?って。実際活動している人に関わりたいし、話とか聞いてみたいし、作っている人たちに話を聞いてみたかったんです。

齊藤

どんな感じで進んでいったの?

森口

最初「企画案を出して」って言われて、思いつかなくて。経験もないし。とりあえず鳥公園の人が持ってきてくれた資料とかは飾るとして、どうすればいいの?って。資料だけだと、これまで鳥公園がやってきたジコショウカイ展と同じになるから、何をすればいいんだろうって。

悩んだ時に、鳥公園を運営している人がどんな人か知りたいなって思って。普段喋る機会も無いし。こういう方が作っているんだよっていうのを知りたい。鳥公園のガチの自己紹介があれば良いなって思って言ったのが最初で。そうしたら、「どんな自己紹介にする?プロフィールとか載せる?」って言われて「創作に関わること」をテーマにして。

齊藤

もりもりが実際に思った疑問を相手側が膨らませてくれたんだね。吊るすのはもりもりのアイデア?

森口

本当に物量が凄いから、壁に貼るのは無理だなってなって、それでまた話し合って、吊るすでしょみたいな。

齊藤

あれ凄い好きだった。

『むかしむかし、あるお家に』への参加

齊藤

今度12月23日にもりもりはわーわーフェスに出演するよね。わーわーフェスでは何をやるの?

森口

(今年自分が出演したツアー型演劇公演)『むかしむかし、あるお家に』について発表します。

齊藤

楽しみにしてます。もりもりは去年も出たんだもんね。

森口

そうです。

齊藤

今年の『むかしむかし〜』では、数多くいた妖怪の中で、私の一推しが「なりかま」(※もりもりが演じた妖怪)なので〜。

2023年9月に『むかしむかし、あるお家に』で
もりもりが演じた釜戸の妖怪「なりかま」
(※実際の上演シーンです)

森口

(笑)

齊藤

「なりかま」のキャラクターは『むかしむかし〜』の創作だったんだよね。あれはどういう風に作っていったの?

森口

なりかまは、最初合宿で、ストーリーとかも決まっていなくて、「最初オープニングがあって、ミニゲーム(ミッション)があって、エンディングがある」というのは共有されてたんですけど、なにをミニゲームでやるかは決まっていなくて、みんなで作るってことになって。最初は妖怪で調べて。この妖怪がこんなゲームしてたら面白いとか考える時間があったんです。

「なりかま」は、実際にいるらしいですよ。

齊藤

そうなの?でもいそうだよね。釜戸の妖怪だし。マイナーだけど日本全国どこかにはいそう。

森口

これは樹生さん(今年の『むかしむかし〜』に出演したぱちぱちメンバー)が「なりかま」を考えてくれたんですけど。

発表する時間があって、まず妖怪名を言って、実際にやってみてデモンストレーションするんですけど、そしたらいきなり、「あたま撫でて下さい」って言われて、頭撫でたら踊り出す・おみくじをやる みたいなのが出て来て、それは一発で「面白い」って(演出の中村大地さんに言われて)採用されたんです。

齊藤

なるほど!樹生が、キャラクターデザイン含めて描いて、こういう妖怪だよって考えたんだ。

将来の夢は決めない

森口

将来の夢とか決めないって決めたんですよ。

齊藤

それはいつごろ?

森口

高校生くらいですかね。

齊藤

それはなんで?

森口

やりたいことがいっぱいあって1つに決められない。すぐ変わるし、自分が知っていることってこれだけじゃないですか。常に(知っていることが)広がっていくので、いろいろ考え方とか、どういうふうに生きたいとか常に変わるから、決められないし、先が決まっているのが嫌っていうか。逃げ道じゃないですけど、結構先の予定が決まってるのが苦手で。

齊藤

どのくらいまでOK?一週間後くらいまではいいでしょ?(笑)

森口

将来の夢とか、目標とか、決めたくない。

だからいま就職するかしないかとか、考えたくない。だからやりたいって思ったことはすぐやらないと、もうだめな人間ていうか、感情の振り幅がすごいから(笑)だからすぐにやるし、やりたいことをやってく。

演劇をどうやったらゆるく続けられるか、みたいなのは高校生のときには別に考えてなかったけど、それなりになんか…毎回ちょっとずつ努力して、ぱちぱちも行かなくなったら続かなくなっちゃうけど、行けるんだったら、行けるイベントに参加するとか。ちょっとずつ頑張ることで、演劇をゆるく続けられてるって言うか。意外とできてるみたいな。

齊藤

そうだよね。もりもりは大学で演劇をやってる訳じゃないし、演劇系の大学でもないもんね。

森口

なのに、(演劇)続いてるわって。だから、目標立てなくてもできてるなって。

照明を演劇でやりたいって思ってて、だから、大学も照明を学ぶ学校に入りたいって思ってた時期があったんですよ。だけど、その自信がないとか。(入ったら)照明の仕事をしていかなくちゃいけないし。大学で折角学ぶんだったら、その道に進まないといけないのかなとか。でも中央大学そのままいけるしなとか、あと親がどちらかというとそこまで演劇をプラスに思ってなくて、そのまま大学進んだけど。

でも、今はガッツリじゃないけど照明に呼んでもらったりとかしてて。

もりもりが照明で参加した道徳ふあんしー『VIVI』の公演チラシ

齊藤

(やりたいこと)できてる!すごーい!

齊藤森口

(2人で拍手)

齊藤

今もりもりが言ったことは、演劇をやりたいと思っている人たちに凄く響くと思う。

ちょっとずつ努力して、ちょっとずつ進化して、いつの間にか「あれ、続けてるじゃん」っていうのは、演劇を続けるためには演劇の大学行かなくちゃいけないのかなとか、でもいっぱいやりたいことあるし、狭めたくないなっていう風に思っている人たちにとって、すごく心に響く答えだなって思うよ。

森口

嬉しいです。

「どぐうアーティスト」森口夏希

森口

あと絵も描いてて、土偶もあって…。

齊藤

もりもりの土偶の絵すごいよね。

森口

最初は授業中にちっちゃくなって描いてたものが、今は展示されたりとかしてて。

齊藤

え、もう展示されてるの?

森口

グループ展とかに出したりとか、友達に見せたらその友達が凄く気に入ってくれて、勝手にTシャツとか作って。いまアメリカに留学してるんですけど、そっちの知り合いがやってるグループ展とかに出さしてもらって。私のブースとか作ってくれて。

齊藤

アメリカで??凄いじゃん!

森口

その人が勝手に広めてくれてて、いま、土偶を広める活動をしています。

齊藤

ちょっと早く言ってよー!超いいじゃん。もはや土偶アーティストだよ!

森口

そう、今「どぐうアーティスト」って名乗ってて…。

齊藤

名乗ってるんかーい!(爆笑)

森口

今まで文章とか絵とか、描いてても外に出したりしてなかったんですけど、その人が凄い引っ張ってくれるから、逆に「素材欲しいからなんか描いて!」みたいな。今日も持ってきているんですけど…。

齊藤

すばらしい!これは何を使って描いてるの?

森口

アクリル絵の具で描いてます。派手にしたくて、毒々しくしたくて、ドクガエルみたいな。ハッキリした感じにしました。

齊藤

すごい才能だ…。では、これからはどぐうアーティストとしても、ぱちぱちを宜しくお願いします!

森口夏希さん、沢山のお話をありがとうございました!

インタビュー時間は1時間以上!今回載せきれなかった話も沢山あり、どこかで公開したいなと思うくらいの盛り上がりでした。

次回の「ぱちぱちメンバーズファイル」は、松井紀子さんです。お楽しみに!

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