演劇ネットワークぱちぱち総合ディレクター・中込遊里です。
本記事では、「あなたが演劇とのより良い付き合い方を見つける」を目的に活動する演劇ネットワークぱちぱちの2024年から2025年にかけて、2024年度の最も大きな活動だった「わーわーフェス」の報告とともに総合ディレクターの目線で振り返ります。
ぱちぱちをより発展させるために、2024年度は「わーわーフェス」と題したぱちぱち版文化祭に予算や時間を大きく割こうと考えました。その結果、「狙いはある程度果たせたけれど企画実施はとっても大変だった」という経験を得て、これからのぱちぱちの行く先を考えることができました。詳しくはぜひ本文をお読みください。
本記事の目次
『わーわーフェス』ってどんな企画?
『わーわーフェス』とは、2021年のぱちぱち立ち上げ時から継続している、演劇の楽しさを一人でも多くの人に伝えることを目的としたオープンイベントです。
2023年のレポートは こちら
2024年は12月21日に八王子市学園都市センターイベントホールで実施しました。会場を「ぱちぱち星」に見立て、お客様が演劇の星を探検するというコンセプトです。
イベント宣伝ページは こちら
▼ぱちぱちアニュアルレポート2024から抜粋した「一目でわかるわーわーフェス」(画像はクリックで拡大できます)
2024年のわーわーフェスは、ぱちぱちのメインコンテンツが一堂に会しました。
子どもから大人まで多くの人が楽しめることを目指して、言葉を声に出す体験を大切にする「読み合わセッション」、演劇の手法を使ったミニゲーム、オリジナルカチューシャで「ぱちぱち星人」になるブースも企画しました。
1日かぎりのお祭り。来場者は104名でした。
<内訳>
18歳~25歳・・10名
未就学児・・9名
一般・・70名
関係者・・15名
▼ぱちぱちメンバー・のん(20歳)がデザインしたパンフレット(表)
▼同・裏
ステージ演目:高校生とつくるインド神話『ラーマーヤナ』
2023年度から継続している、ぱちぱちメンバーと高校生が演劇を作る企画「#マジゲキ」では、インド神話の上演に挑戦しました。
高校生9人、ぱちぱちメンバー6人が出演とスタッフで活躍しました。
1ステージの公演はほぼ満席で、78人の方にご覧いただきました。立ち見でご覧いただいた方もいらっしゃいました!
詳細なレポートはこちらから
ステージ演目:多摩ニュータウンマンヒーローショー
多摩ニュータウン(八王子市・多摩市・町田市・稲城市にまたがるニュータウン)のご当地ヒーロー・多摩ニュータウンマンによるヒーローショー。
照明・音響効果ばっちりのホールでショーを行うのは初めてで、一般のお客様だけではなくインド神話に出演する高校生やぱちぱちメンバーも一緒に盛り上がりました。
多摩ニュータウンマン2024年の活動レポートはこちら
盛りだくさんのコンテンツ!







ぱちぱち星を探検する探検家ゆずぽんと博士というキャラクターに扮したゆずぽん(21)とまゆたそ(25)が、わーわーフェスの案内をします。
総勢26人のユース世代(ぱちぱちメンバー)が様々なコンテンツで大活躍しました。
集まった方々と演劇的なコミュニケーションを取るべく、企画の段階からみんなで知恵を出し合いました。
『わーわーフェス2024』の狙い
演劇のネットワークで創作するというのはどういうことなのか。2021年にぱちぱちを立ち上げて以来ずっと考えていました。
創作のカナメは「なにを作るか」と「誰と作るか」だと思います。
演劇に関わらず、どんな職業でもそうなのではないでしょうか。なにを、誰と成すか。
劇団でも学校でもないネットワークであるぱちぱちでは、企画者が基本的にぱちぱち内で仲間を集めてプロデュースチームを作り、創作が始まります。
「なにを作るか」が先にあるのですが、企画に対して人が集まりにくいという課題がありました。
なぜか。私は、ネットワークにどんな人がいるかお互いにわからないからではないかと考えました。
演劇に興味のある若者が集まっているという安心感はあるかもしれませんが、全員がいわゆる「コミュ力お化け」というわけでもない。ネット上で話しかけるのはなかなかに勇気が要ります。
つまり、「誰と作るか」がいまひとつ曖昧なのです。
ですので、たくさんのぱちぱち関係者が集まる機会を作れば、どんな人がネットワークにいるのかがわかり、この先のぱちぱちの企画が動きやすくなるのではないか、と考えました。
これまでも誰でも参加可能の企画は複数ありましたが、なにかを一緒に作って一般の方に発表するという規模は行いませんでした。
2024年は大規模にして、一般のお客様も含めて、たくさんの人を出合わせよう。そう決めて、「ぱちぱち版文化祭」のイメージを持たせた「わーわーフェス2024」を始動させました。
ぱちぱちメンバーの振り返り
3月には振り返り会を開催しました。ディレクターを担当してくれた、アキナ(25)・りの(24)・こと(19)※年齢は当時 が、わーわーフェスに参加したメンバーの意見を取りまとめてくれました。
▲ぱちぱちの年度替わりの集会「ぱちぱちA-GO GO!」(2025/3/18 八王子市クリエイトホールにて開催)にて発表しました。
振り返り会で出た意見では、全体を通して「もっとこうすればよかった」という反省点が多かった印象です。
思うように進まない。なかなか決めごとが決まらない。情報共有が難しい。コミュニケーションの問題とマネジメントの問題が絡み合います。
広報やブランディングについても深く考える機会となりました。
▲わーわーフェスの2024年度の動き(ディレクター作成資料)
一方、「わーわーフェス」がぱちぱちメンバーの他演劇に興味のある方々が出会う場所として機能したという意見もありました。
メンバーからの意見の一部を紹介します。
〇舞台監督、企画監修、音響、照明などでプロの方々に入っていただき、親身に応援してくれたことがありがたかったしよい勉強になった。
〇イベント入場者に制限を設けないことで、いろいろなコミュニケーションが生まれた。
〇ぱちぱちのことがずっと気になっていたというお客様から「今回初めて参加してみて子供が楽しそうにしているのが良かった、これからも頑張ってほしい」とのお言葉をいただいたことが嬉しかった。
2025年に活かせたこと
「わーわーフェス2024」ほどの規模を実施することで、運営だけではなくぱちぱちメンバーも体験を通してぱちぱちに集まる人やその人となりをこれまでよりもずっと知ってもらえたことは確実でした。
それが成果としてあらわれるのは翌年度2025年です。
2025年に走り出した企画では、これまでに比べるとぱちぱちメンバーがぐっと集まりやすくなりました。
わーわーフェス2024ディレクターのアキナ、りの、ことは、仕事や学業と両立しながら、ぱちぱちのメイン企画に関わり続けています。
いろいろな都合でぱちぱちから距離を置いたメンバーももちろんいます。
その一方で明らかに「この人と演劇を作る」という意識で企画に向かうメンバーが増えた印象を私は抱いています。
ネットワークで創作するために
わーわーフェス2024を一言でまとめると、「狙いはある程度果たせたけれど、企画実施はとっても大変だった」だと思います。
その大変さを解決するための方法はいろいろ考えられると思うのですが、ポイントは「属人的ではないこと」だと、2025年度も終わりに近づいた今、はっきりと感じています。
多くの芸術はそうですが、演劇もかなり人の能力や美意識によって作られるものだと思います。
劇作家・演出家の見ている世界をあらゆる人が集まって劇場に出現させる。俳優が中心になっても属人的であることには変わりません。だからこそ観客は感動するのです。人は人に興味を持ち、人の営みに感動するからです。
ただ、若者の演劇ネットワークでの創作では、人に縛られるとその良さを活かせなくなるのだと思います。
ネットワークならではの良さとは、いつ繋がっても離れても自由だということです。
そこに若者がいる。若者の特性は、柔らかく、これから何にでもなれるということです。
スポンジのような若者たちが、これからの自分の道を見つけるために活用できるのがぱちぱちです。学校の先生に数年かけて演技論を教えてもらう、というのとも、劇団に所属して演出の価値観をもとに創作する、とも全く違うのです。
ということから、わーわーフェス2024で得た「大変さ」を解決するためには、ネットワーク自体に知識が溜まっていく必要があると考えます。
誰かがネットワークで得た経験は、他の誰かが可能な限り参照できるように工夫した形でネットワークに残すことが理想です。
瞬時に消えてしまう演劇だからこそ、その作り方を未来の誰かがわかるように残すのです。難しいかもしれないけど、それを目指したい。
2024年、ぱちぱちには100人を超えるメンバーが集まりました。実のところ、ここまで来るためには属人的なやり方を使う必要がありました。
ぱちぱちは2025年以降「ネットワーク」ならではの良さを目指し、知識や経験を溜めていくフェーズに向かいます。
中込遊里(演劇ネットワークぱちぱち総合ディレクター)
わーわーフェス2024の写真撮影:斎藤弥里
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