八王子の町からうまれる戯曲とは?作り方を聞いてみた!【byぱちぱち戯曲研究会】

「演劇の戯曲ってなに?」「どうやって書くの?」

戯曲・シナリオを書くのって、難しそう……でも、みんなで集まればできるかも?!

年齢や経験を問わず「戯曲を一緒に書く」という目的で、15名が集まるワークショップ、「短編戯曲を書くための小さなゼミ in 八王子 ~屋根裏ハイツのシナリオ教室~」が10月から開催されています。

「書く」という行為は1人でやるものではありますが、持ちよったアイデアについてほかの人から意見をもらい、さらに書き進めていく……。そんな方法で、約5か月をかけて1人1本の短編戯曲を書いてみようという試みです。

3月20日(木・祝)の戯曲ゼミ最終回には舞台俳優をゲストとして招き、受講生が書いた作品を実際に読んでもらうリーディング発表会が開催されます。

★戯曲ゼミの成果、リーディング発表会についてはこちら↓
短編戯曲を書くための小さなゼミ in 八王子 ~屋根裏ハイツのシナリオ教室~『リーディング発表会』

戯曲ゼミ受講生の森口 夏希さんに、戯曲ゼミの様子や自身が執筆している戯曲について、聞いてみました!

聞き手:伊藤優花(演劇ネットワークぱちぱち 広報)

森口 夏希(21)大学生

ぱちぱちでの活動:演劇公演に出演したり、集まりに参加したり、たくさんの企画に参加しています。ぱちぱちヘビーユーザー。

いつもの戯曲との関わり方:好きな劇団の作品を買って読む。書くのは3回目。

個性豊かな受講生とともに、進捗を共有したり相談したりできる戯曲ゼミ

――戯曲ゼミに参加しようと思った理由は?

これまでなんとなく戯曲を書きたいとは思っていましたが、公演が決まっているなど、締切のある状況じゃないと書けなかったんです。公演を予定すると大変なのでちょうどいい機会でした。実際に戯曲ゼミを受講してみて、進捗を共有したり困ったら相談したりできるのがいいところだなと思っています。

――森口さんは今までにも戯曲や脚本を書いたことがあるそうですが、この戯曲ゼミに参加して今までと取り組み方が変わったところはありますか?

実際に戯曲を書き始める前に、自分がどんな戯曲を書きたいのかを人にわかるように発表するというワークがあったので、事前に構成なども考えるようになりました。

――講師である劇作家の中村大地さん(劇団 屋根裏ハイツ主宰)の印象は?

とても引き出しが多くてすごいと思いました。映画やアニメ、漫画、YouTubeチャンネルにも詳しくて、自分がイメージしていることをアバウトに話すと、関連するような作品や表現をいろいろ教えてくれました。

戯曲ゼミ中の中村大地さん(手前)

――戯曲ゼミはどんな雰囲気で行われているんですか?

かなり自由です。1人が「どんな戯曲にしたいか」という構想を発表したら、みんなからどんどんいろんなアイディアが出て、活発な議論になります。たとえば、ミステリーの戯曲を書きたい人が「こういうシーンを入れたいんですよね」という話をすると、作者本人のプランは一旦置いておいて、どういうオチにしたらおもしろいかを他の参加者が喋りまくったこともありました。

そして回を重ねて戯曲が少しできあがってくると、書いている人の悩みも具体的になってきます。みんなで一緒にその戯曲を読んでみて、良かったところやわかりづらいところを挙げて、それについて具体的に「こうしたらもっと良くなるかも」という意見を出し合ったりもします。

――受講生にはどんな人がいますか?

年齢も職業も幅広くて、キャラが濃いです! 演劇関係者だけじゃなくて、まったく違う職業の人もいます。音楽関係の人や、普段の職業とは関係ないけど書くことに興味があって参加したという人もいました。

戯曲ゼミ初日に、街を歩いてインスパイアされたものから1分前後くらいの会話の戯曲を作ったのですが、虫や物の視点で書いている人や、会話が成立してないような台詞を書いてる人もいておもしろかったです。

あと、八王子の歴史にとても詳しくてそこから着想を得て書いている人や、八王子の方言を使って書いている人もいました。

――おもしろそうですね! 戯曲ゼミは「戯曲を書いてくる」→「みんなの前で進捗を発表する」という流れでおこなわれているそうですが、みんなから意見をもらったことで何か発見はありましたか?

自分が思いもよらないシーンで、「この台詞いいよね」と褒められると嬉しいですね。

自分が書いてきた戯曲をほかの受講生に声に出して読んでもらったときに、その人も初見なので、「どういう感じで読んだらいいかな」と手探りで読み始めたみたいだったんです。でも、読み終わった後に「この台詞はとっても素直な台詞だから、そのまま読めばその役になってたんだよね」と言われて嬉しかったです。

ほかにも、少し伝わりづらいので意味をわかってもらえるか心配していた台詞について、「ちゃんとわかるよ」と言ってもらえたときに嬉しいなと思いました。

リーディング発表会に向け鋭意執筆中! ちょっと変わった生物が住む団地の物語

――公開発表会は3月20日ですが、今、戯曲執筆の進捗は何割くらいですか?

まだあんまり書けてないかも……悩んでます。でも書ききりたいです。目安としては30分くらいの作品を書くことになっているのですが、短くても長くても大丈夫ですよ、とは言われてます。

――森口さんが今書いている戯曲はどんな話なんですか?

ドクさんという未確認生物と、モリタトモミという中華料理屋さんの娘の話です。ドクさんは、未確認生物だけが住んでる団地に住んでいて、トモミとはゲーム友達です。トモミはドクさんに憧れていて、自分もそういう生物になりたいと思っていて、ドクさんに結婚を申し込む話です。

――おもしろい! なぜその話を書こうと思ったんですか?

戯曲ゼミ初回に八王子の町を歩くフィールドワークをしたときに、団地を見かけたんです。私はふだん、土偶のキャラクターを作ってイラストを描いたりグッズを作ったりしているんですが、その土偶のキャラクターが団地の窓やベランダから「やっほー」って言ってたらかわいいな、と想像して。そこから着想を得て、ちょっと変わった生物が住む団地を想像したのがはじまりです。

森口さん作のキャラクター「どぐう」のグッズ。
団地から手を振る「どぐう」(イメージ)

――八王子の町を実際に歩いたことが膨らんで作品になっていくんですね。発表会では、映画や舞台で活躍中の兵藤公美さん、ぱちぱちが企画したワークショップの講師をしてくれたこともある福原冠さん、劇作家・演出家でもある升味加耀さんをはじめとするプロの俳優さんが完成した戯曲を読んでくださるということで、どんな作品になるのか、発表会がとても楽しみになりました!

短編戯曲を書くための小さなゼミ in 八王子 ~屋根裏ハイツのシナリオ教室~『リーディング発表会』

2025年 03月20日(木)

13:00開演(12:30開場)19:30終演予定(最長21:00)

※途中入退場可

※会場内2エリアで30分前後の戯曲を最大15作品発表いたします。

※作品の上演順は決定次第発表いたします。

会場:学園都市センター第1・第2ギャラリーホール

★無料・要チケット

戯曲ゼミ参加者の奥山 樹生さん、菅 智明さん、宮本 尚和さんのインタビューはこちら!

戯曲ゼミ開催前の中村大地さんのインタビューはこちら!


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そのために、18歳~25歳という社会に飛び出したばかりの世代が、「自分らしい演劇の続け方」を考えたり試したりするための「仲間」「知識」「場所」と出会えるプラットフォームを作りました。劇団とも学校とも違う、演劇を通したゆるやかな繋がりの場です。たくさんの取り組みを行い、それがどうなったのかを発信していきます。

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