みんなで話してつくる戯曲ワークショップ?! 発表会直前の受講生に様子を聞いてみた!【byぱちぱち戯曲研究会】

「演劇の戯曲ってなに?」「どうやって書くの?」

戯曲・シナリオを書くのって、難しそう……でも、みんなで集まればできるかも?!

年齢や経験を問わず「戯曲を一緒に書く」という目的で、15名が集まるワークショップ、「短編戯曲を書くための小さなゼミ in 八王子 ~屋根裏ハイツのシナリオ教室~」が10月から開催されています。

「書く」という行為は1人でやるものではありますが、持ちよったアイデアについてほかの人から意見をもらい、さらに書き進めていく……。そんな方法で、約5か月をかけて1人1本の短編戯曲を書いてみようという試みです。

3月20日(木・祝)の戯曲ゼミ最終回には舞台俳優をゲストとして招き、受講生が書いた作品を実際に読んでもらうリーディング発表会が開催されます。

★戯曲ゼミの成果、リーディング発表会についてはこちら↓
短編戯曲を書くための小さなゼミ in 八王子 ~屋根裏ハイツのシナリオ教室~『リーディング発表会』

戯曲ゼミ受講生の奥山 樹生さん、菅 智明さん宮本 尚和さんに、戯曲ゼミの様子や自身が執筆している戯曲について聞いてみました!

聞き手:伊藤優花(演劇ネットワークぱちぱち 広報)

奥山 樹生(24)俳優たまに作/演出

ぱちぱちでの活動:演劇公演に出演したりヒーローショーの企画をしたりしています。

いつもの戯曲との関わり方:俳優として読む、声に出す、自分で書く。

菅 智明(24)大学院生

ぱちぱちに入るまでの活動:高校時代に演劇部に入っていました。

いつもの戯曲との関わり方:観劇して良かった作品の戯曲を購入したり、ごくたまに書いてみたりと、ふんわり触れています。

宮本 尚和(20)大学生

ぱちぱちでの活動:演劇公演に出演したり、集まりに参加したりしています。

いつもの戯曲との関わり方:書く、読む、声に出す。

アイディアを出し合って、価値観が入り混じる瞬間がある

――この戯曲ゼミを受けようと思った理由は?

奥山

ひとまず1本戯曲を書ききりたいとは思っていたのですが、締切がないと書ききれそうにないなと思って。締切が設定されている場でなら、作品を完成させられるかなと思って参加しました。

また、他の人の執筆への取り組み方にも興味がありました。みんながどういう風に完成のためにモチベーションを維持しているのか、楽しく書き続けるためにどんな工夫をしているのかを知りたかったのも理由のひとつです。

宮本

僕も似たような感じです。高校時代は演劇部でよく戯曲を書いてたんですが、大学に進学してからはずっと書いていませんでした。高校時代は公演をする機会があったから書いていたんだということに気づいて、書く機会が欲しいと思って、参加しました。

僕も高校のときに演劇をやっていたんですが、大学ではあまり演劇に関わってきませんでした。

でも、戯曲を書くことは上演を前提としなければ1人でできて手軽なので、大学に入ってからも少し書いてみてはいました。そんな中でこの戯曲ゼミのことを知って、「この機会に戯曲を書いて、また演劇に関わりたいな」と思って参加しました。

――戯曲ゼミに参加していて、印象的なことはありましたか?

奥山

初対面の他の受講生にむけて、自分が書きたい戯曲についての発表をしたときに、自分や普段自分の周りにいる人が思いつかないような意見が出てきたことです。そこで改めて、自分の考え方を客観的に見るきっかけになったことが印象的でした。

宮本

僕は戯曲ゼミ初日にフィールドワークをしたときのことが印象に残っています。

八王子近辺を自由に歩いて、それをもとに何か短い会話を書いてみようというワークだったのですが、たまたま一緒になった参加者たちと歩きながら喋っていたときに、この会話をそのまま台詞にしてもおもしろいんじゃないかとふと思いました。ワークを通すことで、何気ない会話が実はおもしろいものだったんだなということに気づいたんです。

――複数人での戯曲ゼミだからこその発見ですね。他の受講生との交流で、戯曲を書くにあたってなにか影響を受けましたか?

奥山

予想外な方向からのフィードバックをもらうことがあって、それを自分の戯曲にどう反映させるのかが難しいなと思いました。普段周りにいる人とは違う視点で意見をくれるので、自分の書き方の癖を考えるきっかけになりましたね

宮本

戯曲ゼミでは、オリエンテーションの次の回で、各自がアイディアを持ちよったんです。でも僕は忙しくて、物語の設定しか考えていけなかった。とりあえずシチュエーションだけを提示したら、あまりにも僕にアイディアがないから、みんなが一生懸命アイディアを出してくれました。物語も不思議な方向に展開しておもしろかったです。

高校の演劇部では、粗くてもひとまず最後まで書いて部員のみんなに渡していたのですが、「こんな書き方もできるんだな」という可能性が見えた気がします。

実は僕も準備不足で臨んでしまって、駅のホームというシチュエーションしか決まっていなかったんです。でも駅のホームでよくあることを話し合ったり、社会人の受講生が通勤中の電車でのエピソードを教えてくれたりして、自分だけでは思いつかないようなアイディアを聞くことができました。そういうものをどんどん取り入れて、より良い戯曲にしていきたいなと思います。

――戯曲ゼミには演劇関係者に限らず、20代から60代の、平均45歳のみなさんが参加しているそうですね。職業も、学生、お医者さん、公務員、現代音楽作曲家など、さまざまなんだとか。世代や背景の異なる受講生と交流することによる発見はありますか?

  

奥山

言われてみると、背景の違いを感じることはあったかも。台詞の作り方などに、観てきたものやスタイルの違いを感じました。そして、それを違う世代の人が読んで価値観が入り混じった瞬間を見聞きしておもしろかったです

僕はそこまで世代差を感じませんでしたが、ひとつの戯曲についていろんなことを話していると、それぞれに違った視点があるなあと思いました。

戯曲ゼミ中の受講生の様子。

――お互いの取り組み方を見ていてどうですか?

奥山

皆がアイディアを出してくれているのを聞いているもっちゃん(宮本)の姿から、もっちゃんが何をおもしろいと思ってるのか、何に興味を持ってるかがその反応でちょっとわかるのがおもしろかったです

発表会に向けての意気込み

――みなさんの戯曲は、3月20日の発表会で一般公開されます! どんな作品を書いているか、ちょっとだけ教えてもらえませんか?

奥山

僕は廃車寸前の古い車と新しい車が会話する戯曲を書いています。この物語がどう終わるのか、僕もまだわからないんですよ。戯曲ゼミ内でもらったフィードバックを参考にしつつ、どうやってそのストーリーを進めていくかということを考え中です。

宮本

設定としては踏切の前での会話を書くつもりです。踏切という場所の条件や文脈、初回のフィールドワークでの会話からうまれた台詞を物語のなかでどう使おうかと考えています。

何かを抱えている主人公が駅のホームの待合室にいて、待合室での出来事をきっかけにして待合室を出て電車に乗ってどこかに行くという話を書きたい、という構想があります。ハートフルな戯曲です。

――どんな作品ができあがるのか、楽しみですね。3月20日の発表会ではプロの俳優が書いた戯曲を読んでくれ、お客さんも観に来ます。何か期待していることはありますか?

奥山

あまり発表会を意識しすぎないようにしています。

発表会はモチベーションが上がる側面もありますが、今回はとにかく書くことを楽しみたいなと思っています。

僕は感想をもらうと嬉しいので、普段も友達に見せて感想をもらうことがあります。今回の戯曲ゼミの発表会は、友達に感想を聞くよりも開かれているので、いろいろな人に面白がってもらえたらと思います。

宮本

(俳優さんには)自分の戯曲をフラットに読んでもらえたら嬉しいです。その場で戯曲に書いてあることを楽しんでいただいて、それをみんなで共有できる空間になってくれたらいいな。

──いろいろな人と話し合うことで、思いもよらない化学反応が起きた戯曲になりそうですね。発表会でどんな風に読まれるのか、私も楽しみです。

短編戯曲を書くための小さなゼミ in 八王子 ~屋根裏ハイツのシナリオ教室~『リーディング発表会』

2025年 3月20日(木)

13:00開演(12:30開場)19:30終演予定(最長21:00)

※途中入退場可

※会場内2エリアで30分前後の戯曲を最大15作品発表いたします。

※作品の上演順は決定次第発表いたします。

会場:学園都市センター第1・第2ギャラリーホール

★無料・要チケット

戯曲ゼミ参加者、森口 夏希さんのインタビューはこちら!

戯曲ゼミ開催前の中村大地さんのインタビューはこちら!


演劇ネットワークぱちぱちのミッションは、<八王子から発信する、あなたが演劇とのより良い付き合い方を見つけるための環境作り>です。

そのために、18歳~25歳という社会に飛び出したばかりの世代が、「自分らしい演劇の続け方」を考えたり試したりするための「仲間」「知識」「場所」と出会えるプラットフォームを作りました。劇団とも学校とも違う、演劇を通したゆるやかな繋がりの場です。たくさんの取り組みを行い、それがどうなったのかを発信していきます。

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